■株式会社 みすず書房
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その他数冊
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日記
社会学のコーナーに行くとフェミニズムに関する本がどんどん増えている印象である。
良いのか悪いのか正直分からない面がある。
「歴史的に男は散々女性を虐げてきたのだから、今度はこちらのターンよ」という雰囲気がどことなくしてしまう。
しかし、少子化と女性の地位向上については因果関係どころか、相関関係もほぼ無いと自分は考えている。
これは世界的な、なにかの潮流のひとつの副次的な効果かもしれないと自分は思っている。
なので、女性の権利に関するトピックや女性の社会進出などを絡めて、男の不自由のあれこれをあたかも女性側に原因があると決めつけ、その主張を動画に上げていたり、ツイートしている人とは距離を取りたい。
男が相対的に弱くなったとしたら、別に強くなればいいという話で済みそうである。
問題はもっと複雑だと自分には思われた。
自分が壁を感じるのはそのような下らない問題ではなく、フェミニスト現象なる分野である。
当事者にならないと理解できない、ある種の壁がそこにはあって、立ち読みのときに何回か手に取ったが、千差万別でそれぞれがどういう問題意識を持っているのか分かりにくい。そもそも主観的な問題を哲学の名のものとに、この分野をどれだけ体系付けることができるのかと考えてしまう。
女性のモノ化というのが分からなくもないが、自分は資本主義のなかの、「市場価値」といった「人間の商品化」こそがもっと根本的な社会の闇のように思うのであるが(チャップリンが映画で見せつけたように)、こういうことは彼女たちは考えないのだろうか。
そういえば、チャップリンの白黒の映画は大学の講義で初めて観たのを思い出した。
英文科は就職に不利だとか、英語で食える人はほぼいないだとか、講師に散々いわれてきたが、今思えばやはり悪くない学科だったなと思う。
資本主義と女性のモノ化は別の次元の話で、全く関係ないしナンセンスだという反論が仮にあったとして、では「モノ」とはなにか?商品・所有の対象という意味ではない場合の「女性のモノ化」とはいったい何を意味するのか?
そして「所有」とはなにか?
もっと根本的に考えるべきテーマについて、深く深く考察されている本があまりないよう自分は感じる。
あくまで感想なので、もしそのような本があれば紹介して頂きたい。すぐに読んでみたい。
立ち読みしているときに、なんだかこの違和感が消えなかったので文章に昇華することにした。
・・・
『科学革命の構造 新版』
エドマンド・バークを一冊読みきったので、今度はこれを読もうと思った。
昔、Tという作家がこの本によって「ポスト構造主義の欺瞞が暴かれてしまった」と書いているのを見たが、自分はT氏がただの権威主義者だと疑ってかかっているので、とりあえず読んでからもう一回それについて考えてみようと思うに至った。
本書の新版は哲学者イアン・ハッキングによる解説からスタートする。
これがとても長く、1時間以上読んでようやくこの解説を読み、残りはすこしだけ本編に取りかかれたといったところだ。
明日以降、本書の核心に迫りたいと思う。
メモ
“科学は飛躍的に進歩する。多くの人にとって科学の前進は、まさしく進歩の典型だ。政治や道徳も、そんなふうだったらいいのに!科学知識は累積的で、それまでの到達点にさらなる成果を積み上げ、新たな高みへとよじ登っていく。これはまさしく、クーンが描き出す通常科学の姿にほかならない。通常科学はまぎれもなく累積的だが、革命がその連続性を打ち壊す。新しいパラダイムが一組の新しい問題を提起すると、古い科学が立派に成し遂げたことの多くは忘れられるかもしれない。実はそれは、問題を引き起こさないタイプの通約不可能性なのだ。” Pxliv
“アリストテレスの『自然学』、プトレマイオスの『アルマゲスト』、ニュートンの『光学』(・・・)これらの著作や、ほかにも多くの著作が、あるひとつの研究分野ではどのような問題や研究方法が正統なのかを、続く何世代かの科学者のために暗黙のうちに定義する役割を一定期間果たしていた。” P29
これを踏まえてクーンは「パラダイム」の意味を以下のように説明する。
“それができたのは、これらの著作が、次のふたつの本質的特徴を共有していたからだ。ひとつは、その著作で成し遂げられた仕事が、それと競争する科学活動のやり方から人びとを離脱させて引き寄せ、接続的な支持者のグループを形成できるくらいには前例のない科学的成果だったこと。もうひとつは、そうして再定義された研究者グループのためにさまざまな未解決問題が残されるぐらいには、未完成な仕事だったことである。以下では、これらふたつの特徴を共有する成果のことを、「パラダイム」と呼ぶことにする。” P30
・・・
『人生は愉快だ』
文学、出版のあり方に対する池田晶子の言葉は丸山健二に通ずるものがあった。
言っていることは単純ではなかったが、丸山健二は本が売れない理由を出版社の傲慢であるとみていた。
「本も商品なのだから売れなければいけない」
では嘘を書いても売れたらそれは「良いこと」なのか?
ではそもそも何のための言論なのか?
“「でも売れなければしょうがないでしょ」と、人は言う。なぜ売れなければしょうがないのだろうか。この問いをもまた彼らは所有していない。生活のため、生存のため、すなわち生きるためには売れなければしょうがないということらしい。それなら、なぜ生きるためにわざわざ言葉の仕事を選んでいるのだろうか。生きるための職業ならば、他にいくらでもある。なぜ、あえて言葉の仕事を生業として選ぶ必要があったのだろうか。生きるために必要なものは、言葉であって、金ではない。なぜなら、金のために生きる人もまた、なぜ金のために生きるのかを問うためには、言葉によらなければならないからである。” P232-233
”「売れなければしょうがない」、そう言う彼らが間違えているのは、損得という価値と善悪という価値だ。しかし、値段は価値ではない。逆に、言葉に値段がつくと思うそれがその人の生の価値だ。” P234
この文章を読んで理解に苦しむ人はプラトン『ゴルギアス』をおすすめしたい。
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『ヨブ記』
自分の好きな作家がこの本をおすすめしていた。
宗教史や宗教社会学、内村鑑三の本もある程度読んだのでそろそろこういう本にも手を出したくなる。
話の内容はまさに不条理そのものであった。
読み終えたら全体の感想を書きたい。
つづく
公開日2024/3/14