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新・読書日記149(読書日記1489)

デーヴィッド・マークス『STATUS AND CULTURE ――文化をかたちづくる〈ステイタス〉の力学 感性・慣習・流行はいかに生まれるか?』筑摩書房(2024)

■株式会社筑摩書房

公式HP:https://www.chikumashobo.co.jp/

公式X(旧 Twitter):https://twitter.com/ChikumaShinsho?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

       永田希『積読こそが完全な読書術である』イースト・プレス(2020)

■株式会社イースト・プレス

公式HP:https://www.eastpress.co.jp/

公式X(旧 Twitter):https://twitter.com/eastpress_ebook?lang=ja

       モーリス・ブランショ『終わりなき対話 I複数性の言葉』筑摩書房(2016)

■株式会社筑摩書房

公式HP:https://www.chikumashobo.co.jp/

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日記

ブックオフの20%OFFセールが終わったあとのほうが実は安いのではないかと思い始めた。

というのも、いろんな本に値下げシールが貼られていたのである。これは20パーセントオフの価格よりも安い。

今週はいろいろと嫌なことが多い一週間であったが、日曜日のブックオフに行って少し元気が出た。

  

地元の古本屋がいよいよ閉店となってしまった。

これで地元の古本屋は全て消滅した。無論、新規にオープンした本屋、古本屋は一軒もない。

いよいよ電子化の時代なのだろうか。自分は1000冊ほどのファイルをタブレットに入れたが、電子よりも紙のほうがまだまだ読みやすく、読んだ実感も大きいと感じている。こんなことを書いてもなんだかむなしくなるので今日読んだ本の感想を書き残したい。

  

・・・

『終わりなき対話 I複数性の言葉』

坂本龍一が難しいながらもデリダの本などを真剣に読んでいたのを知り、自分もブランショだけはしっかり読もうと思っている。

ブランショは時々箴言めいたことを書くが、やはり基本的には何を言っているのか分からない。しかし、独特の文体はベルンハルトよりも癖が強く、個人的には好みである。

  

メモ

“書くことは、哲学することである。” P41

  

“レヴィナスの書物のもっとも強力な面のひとつは、あのみごとな、厳密で、熟達した、注意がゆきとどき、それでいて震えるような言葉づかいーーーそれこそ彼の言葉づかいだーーーによって、分離から発して、他なる人に対する尊重へと、私たちが責任を感じるようなやり方で、私たちを導いたという点だ。” P141

 

形而上学的欲望について語るブランショ

“(・・・)私たちに欠けていないものに対する欲望であり、満足させられることのありえない欲望、欲望されているものと合一するのを欲することのない欲望だ。” P142

ルネ・シャール「詩とは欲望のままとどまる欲望への、実現した愛である」

  

・・・

『STATUS AND CULTURE ――文化をかたちづくる〈ステイタス〉の力学 感性・慣習・流行はいかに生まれるか?』

興味本位で読んでみたが今日の感想としては、この本は社会学というよりも、なんだか文明論に近く、人間がどのような領域においても「ステータス」という「概念」が階級をかたちづくるという「物語」が展開されていく。

スクールカースト、組織の上下関係、部活の上下関係などは典型的な階級として認知されているが、どんなところにも階級というものは発生する。これを読んでいて自分は仲正昌樹教授が講義する、ミシェル・フーコーの権力論を思い出した。(人間活動のあらゆる地点において力関係が発生する)

  

メモ

“「組織化された社会集団は古来より階層化されている。”均質”で、すべての構成員が平等である永続的な社会集団は過去にも現在にも存在しない。階層化されておらず構成員同士が真に平等な社会集団は神話であり、人類史において一度たりとも実現されたためしはない」” P33

  

“資本は個人が所属する集団を決め、その一員であることが個人のステイタスを決める。社会学者のゲオルク・ジンメルはこう記している。「人のことを知るとは、その人の純粋な個性という観点から見るということではない。その人が類別される一般型に当てはめ、上げたり下げたりして見ることなのである」” P49

  

・・・

『積読こそが完全な読書術である』

情報洪水社会を「他律的な積読環境」と表現しているところがセンス抜群だと端的に感じた。

まさに、台風のように情報が四方八方から吹いてくるこの社会においては頑丈な壁を作らなければならない。その壁となるのが「自律的積読環境=積読のビオトープ」なのだ。なんと素晴らしい発想だろうか!!

この言葉が流行語になってくれさえすれば、少しは希望の持てる日本になりそうなのであるが、期待をしても無駄というものだ。

  

“本書で提案するのは、積読のための積読、積読のための読書ですが、それはすべてこの「他律的な積読環境のなかに、自律的な積読環境を作る」ためのものです。” P44-45

  

“世界で同時に進行している積読環境の爆発的増大を、世界金融市場の拡大にたとえるならば、自律的な積読環境を構築するということは、金融市場のなかに自分だけのポートフォリオ(保有資産の組み合わせ)を形成するようなものなのです。” P53

  

つづく

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