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新・読書日記174(読書日記1514)

               鈴木敏夫『読書道楽』筑摩書房(2022)

■株式会社筑摩書房

公式HP:https://www.chikumashobo.co.jp/

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    Th.W.アドルノ『ミニマ ・モラリア 傷ついた生活裡の省察』法政大学出版局(2009)

■一般財団法人 法政大学出版局

公式HP:https://www.h-up.com

公式X(旧 Twitter):https://twitter.com/hosei_up?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

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日記

読書離れが旧TwitterのXでトレンド入りしていた。すると、朝のニュースでも読書離れが進んでいると流れて来た。

自分も正直なところ、大学生になるまで全く読んでいなかったので、読まない理由が分からなくもない。

自分は、高度経済成長を支えたのは読書をする人間が昭和時代には多かったからだと思っているところがあるが、小室直樹の本を読む限りでは、もともと朝鮮戦争の特需など、様々な好条件に恵まれていたから、というようなことが書かれていて、あまり読書は関係ないとも思っている。

では読書離れが進むとどうなるのかという問題になるが、想像力が弱くなることは間違いないが、想像力が弱くなるというのは具体的に何を指すのかということになる。また、本当に弱くなるのか、という問題もある。

ネットで他人の心の本音が簡単に見られるようになったのでむしろ想像力は高まるのではないかとも思ってしまう。

こういうことを考えると、読書を薦める理由はあまりなくなってくるように思える。意義があるとすれば、なにか考えたいことがある人に対して適切な本を薦めることができるという点。できることはせまいが、多少の人助けくらいにはなるかもしれない。

  

『読書道楽』は、鈴木氏がいかに幅広く本を読んでいたのかが伝わる。

レヴィ=ストロース『野生の思考』が分かりやすく、刺激を受けた本と書いてあった。

人類学はなかなか気が進まないが、そこまでいうくらいなら読んでみようかなと思うところであった。

  

『ミニマ ・モラリア 傷ついた生活裡の省察』には、「芸術はわからない」と言い放つ人間の態度が、人を理解しようとしない人と似ているということについて書かれていた。これが面白い例えに自分には思えて、たしかに芸術は難しいところがあるかもしれないが、そこから何か引き出そうとか、何か得たいと思うのは、他人から何かを引き出そうとか、何かを得てやろうという下心に似ている。

想像力の欠如ということが問題となるとすればこのことなのではないか。

小説を読んで何か得てやろうと考える人間が小説を最後まで読んで得られなかった場合、「時間の無駄だった」と思っておしまいにちがいない。

想像力がもっと働けば何かに気づくきっかけになるかもしれない。

  

メモ

“イヴリン・ウォー『ブライズヘッド再訪』。社会に取り込まれたスノビズム。” P296

  

“自明でない思想だけが本物である。” P297

  

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