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新・読書日記182(読書日記1522)

  岡崎乾二郎『而今而後(ジコンジゴ)──批評のあとさき (岡崎乾二郎批評選集 vol.2)』亜紀書房(2024)

■株式会社亜紀書房

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  フリードリヒ・シュレーゲル『ルツィンデ 他三篇 (ルリユール叢書)』幻戯書房(2022)

■株式会社幻戯書房

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  マイケル・サンデル『それをお金で買いますか 市場主義の限界』ハヤカワ文庫(2014)

■株式会社早川書房

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公式X(旧 Twitter):https://twitter.com/Hayakawashobo?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

つづきをよみすすめた。

https://labo-dokusyo-fukurou.net/2024/09/24/%e6%96%b0%e3%83%bb%e8%aa%ad%e6%9b%b8%e6%97%a5%e8%a8%98181%ef%bc%88%e8%aa%ad%e6%9b%b8%e6%97%a5%e8%a8%981521%ef%bc%89/

    

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日記

『而今而後(ジコンジゴ)──批評のあとさき (岡崎乾二郎批評選集 vol.2)』

メモ

“シュルレアリスムが発見したのは、芸術とは作れるものでもなく、それどころか物ですらないという事実である。” P472

  

・・・

『それをお金で買いますか 市場主義の限界』

コンサートの運営側が敢えてチケットを安価で販売しても結局ダフ屋で値上がりしてしまうという事例について、読みながら考えた。

コンサートの運営側が「コンサートは市場の財ではない」という信念から価格を低い水準で保とうとする姿勢に対し、「それは長期的な利益のために、信用を下げないようにしているだけだ」と反論することはたやすい。

マイケル・サンデルは語る。

“しかし、こうした見方はスプリングスティーンのコンサートを解釈する唯一の方法ではない。” P62

   

・・・

つぎに、薬物中毒の母親の子は、そうでない母親の子よりも相対的に虐待によって苦しむ子が多いことから、不妊治療を受ければ300ドルを報酬として貰えるという、活動家の話に移った。

 

犠牲になる子供が大きく減るということで、ビジネスモデルとして成立しているそうである。

マイケル・サンデル語る。

“(・・・)市場取引の道徳的地位を評価するためには、まず第一にこう問わなければならない。市場関係が選択の自由を反映するのはどんな条件下であり、一種の強制力を行使するのはどんな条件下だろうか?” P71

  

薬物中毒者にも自由意志があるから、これは強制じゃないか、という声もある。

あまり説得力はないが、人間の尊厳というものを考えた場合、将来、犠牲になる子供たちから救うという意味においては、不妊治療を市場の原理で推し進めることが可能となる。

 

“生殖能力を、責任と保護という規範にしたがって運用されるべき贈り物や委託物ではなく、金銭的利益を得るための道具として扱っているのだ。” P73

  

ここでようやく規範という言葉が出て来た。本書は法哲学書に書いてあった通り、規範論について考えるための一冊でもある。

  

マイケル・サンデルは規範と腐敗について語った。

“ある善、活動、社会的慣行が腐敗するのは、われわれがそれを扱うのにふさわしい規範よりも低級な規範にしたがうときだ。” P72

  

この72項の言葉は胸に刻むべき文章だと感じた。

このあたりからやや抽象的な話になってきたように思う。

  

ひとまず思うことは、池田晶子の「下品(げぼん)」とは、サンデルにいわせれば「規範のない人間」という意味だろう。

規範のない人間とはつまり短期的な利益に目がいく人間のことである。

著しく品位に欠けるということだ。

で、自分はそういう人間がはてなブログやTwitterに沢山いることを見ていてうんざりするわけである。(自戒も込めて)

つづく

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