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感想
ミクニという人物の生命力・エネルギーが詰まった一冊であった。
・選択肢がないことは、残りの選択肢を全て捨てることと等しい。そして逆説的に自由の条件となる
自分は「逆説の書」という本を書いてみようと思いつつある。ポール・オースター『幻影の書』のタイトルから着想を得た。
ミクニは最初から選択肢がなかった。そのため、決意を固めるのが恐ろしく早く、普通の人ならおそらく25~30歳くらいで到達する域を16歳の時点で達成していた。
もちろん、これは十分条件のようなもので、ミクニには底知れぬ反骨心、良い意味での攻撃性(=積極性)、粘り強さがあったので相乗効果になったのだと感じた。
・仕事が終わったらすることがないから洗い物をするミクニ
16歳で働き始めたので、良い意味で遊びを知らなかったので仕事が終わったら洗い物をしていたと書いてあった。
自分も仕事が終わったらすることがないので読書をしているが、なんとなく分かる気がした。
しかし、それを16歳でやってのけるというのは、ちょっと考えられない。
・貧乏に生まれたからといって、ずっとそのままでいるかどうかは今も昔も分からない
この本を読むと「体験格差」なんてくそくらえと思えるはずである。
教育格差、体験格差、なんとか格差。
もはや格差という言葉が言い訳をするために生まれているとすら思えてくる。
この本を読むとそんなことどうでもいいと絶対に思えてくる。
大事なことはそんなことではない。
「志はみんな平等」
これは素晴らしい言葉だと感じた。
豊かであればあるほど志は弱くなり、選択肢があればあるほど判断力が弱くなり。
世の中はつねに逆説に溢れている。
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新・読書日記188(読書日記1528)
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日記
『本を読む幸せ』
メモ
“出版社ばかりでなく現代のあらゆる産業で起きているのは、立ち行かなくなった資本を大資本が吸収し、結果として特徴のある経営や商品が次々と失われて世の中が均一化していくことになのだ。” P315
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『『失われた時を求めて』名文選』
メモ
“というのも私利私欲なき教養というものは、人がそれを実践しているところを目にすれば閑人の笑止千万な暇つぶしに見えるだろうが、忙しい人たちがよくよく考えるべきは、自分自身の仕事においても、その同じ教養こそが、もしかすると自分よりも優れているわけでもない司法官や行政官たちをずば抜けた人間たらしめていることであり、その人たちのすばやい昇進を目の当たりにして「大へんな教養人、じつに傑した人物だそうですね」と言って脱帽せざるをえないことである。” P224
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三國シェフによると、三ツ星レストランの条件は常に新しいことを挑戦するお店であり、オリジナリティがあることだそうである。
「立ち行かなくなった資本を大資本が吸収し、結果として特徴のある経営や商品が次々と失われて世の中が均一化していく」
首都圏であれば、だいたいどこへ行ってもチェーン店はあり、同じような商業施設、同じような大型書店、同じようなコンビニ、銀行、スーパー、映画館がある。
そこにオリジナリティなど存在しない。
三ツ星は自分にオリジナリティの重要性を考えさせてくれるきっかけとなった。
これもまた逆説的に、実は個性を捨てるほうが個性的であるという問題、それを応用させて明日いろいろ考えてみようと思う。(執行草舟氏は、イギリスの紳士は個性がないから(制服は皆同じで、それを受け入れることが個性だという)個性的なのだと実際に語っている)
つづく