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新・読書日記206(読書日記1546)

        坪内祐三『考える人』新潮文庫(2009)

■株式会社新潮社

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スティーブン・ピンカー『暴力の人類史 上』青土社(2015)

■株式会社青土社

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日記

パソコンが重く、今日行ったインプットの1/4しか書けないかもしれない。

残りは明日に持ち込まざるを得ない。パソコンが重いのは致命的だが買い替える余裕がない。

   

神谷美恵子『生きがいについて』の裏側を知ることが出来た。非常に感慨深い読書時間であった。

『若き日の日記』のなかの言葉によって自分が今まで抱いていた神谷美恵子に対する見方が180度変わってしまった。いや、単に自分が無知なだけであった。

飽くなき探究心。燃え盛る創作意欲。それが神谷美恵子の真の姿であった。

“空襲が続いて、ここ一週間ゆっくり日記を記す時もなかった。しかしこのような時局はさばさばしてよいところがある。明日死ぬかもしれないと思って生きるのだから、いつでも死ぬ用意がなくてはならない。” P110

  

(終戦の日)

“当直。昂奮のためか、二時頃漸く就寝。久しぶりで十時過ぎても窓を開け放って勉強ができた。十二時頃、学生らしき者昂奮して、耳鼻科の窓硝子四枚ぶち割る。諸所で暴動めいたことが起こっているだろう。ニーチェ読了。” P111

  

”人間探究ということになれば、結局文学がいちばん人間の真の姿に近づくことができるのではなかろうか。哲学的思索も、心理学的分野も、医学的実験も、結局、人間が極く小さな部分を小きざみに刻むに過ぎなかった。” P112

  

“「時々泣きたいほど勉強に専心したくなるけれど、そういうときはいつも岡本かの子のとった道を思い出す。負けて勝つことだ。もし私にも家庭以外に何か使命があるならきっといつか神様は道を拓いて下さるだろう」” P113

結婚してから創作や勉学に時間を割けない葛藤がひしひしと伝わる。

 

ここまでの話を坪内氏が統括。

“つまり、『生きがいについて』こそは、彼女の何十年にも渡る持続的な「イデー [ 考え ] 」によって生み出された文学作品だったわけです。”P116

  

・・・

『暴力の人類史 上』

メモ

“つまり、文明化を促進する二つの力は相互に強化しあうのであり、エリアスはこの二つを一つのプロセスの一部だと考えた。国家による管理の中央集権化と暴力の独占、職人ギルドをと官僚制の発展、物々交換に取って代わる貨幣取引、技術の進歩、取引の拡大、遠く離れた人間同士の依存関係の増大などの要素がすべて有機的に絡みあい、全体を形づくっているというわけだ。そして、その全体のなかで成功するためには共感とセルフコントロールの能力を高める必要があり、やがてそれがーーーエリアスの言葉を借りればーーー第二の天性になったというのである。” P159

  

“数の激減もさることながら、ヨーロッパの殺人件数の減少で最も驚くべきなのは、殺人を犯す人の社会経済的特徴の変化である。” P165

  

“ヨーロッパにおける暴力の減少は、まずエリート階級の暴力の減少から始まった。統計を見ると、今日の欧米諸国ではどこでも、殺人やその他の暴力犯罪を犯すのは圧倒的多数が最も下層の社会経済階級に属する者だ。この変化の背景にある一つの明らかな理由は、中世には人びとは力を行使することで高い地位を手に入れていたことがある。” P166

  

『暴力の人類史』は世界に対する斬新、かつ新鮮な視点を与えてくれる。

しかし分厚い。まだ1/8ほどしか読めていない。

つづく

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