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新・読書日記237(読書日記1577)

森本あんり『魂の教育 よい本は時を超えて人を動かす』岩波書店(2024)

スティーブン・ピンカー『暴力の人類史 上』青土社(2015)

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■株式会社岩波書店

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■株式会社青土社

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日記

平日にあまり本が読めなかったので今日は爆発した一日だったように思う。

朝から晩までひたすら読みふけった。

面白そうな新刊書も数冊見つかり、年末あたりはなかなか楽しめそうな予感がした。

  

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『魂の教育 よい本は時を超えて人を動かす』

メモ

(著者による森有正『ドストエーフスキー覚書』の引用)

“キリスト教の中心問題は人間の「罪」もしくは罪性を明らかにし、かつその罪からの救いを教えようとするにある。このことは、人間を倫理的責任のある主体として規定することを意味する。と同時に、それからの救いは、人間をその責任を負うとことのできない主体として規定する。この二つの矛盾することがらが一つに結合しているところにキリスト教の独自性がある。” P70

  

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『暴力の人類史 上』

今日は一日中、ほぼこの本を読みふけった。

ようやく350項弱まで読み進んだ。まだたったの1/4である。なんという分量だろうか。

これは下巻を年内に読み終えるのは難しいのかもしれない。

  

ひとまず、本書は「自己家畜化」という概念がいかに薄っぺらなものなのかを明らかにする重要な根拠として機能するように自分には思われた。

『善と悪のパラドックス』はハッキリいって説明が少なすぎた。人間の暴力性が減少していくことを説明するには1000ページでも足りない。それをわずか400項くらいでまとめているのだから、いかに根拠としては弱いのかがよくわかる。

  

スティーブン・ピンカーは、死刑の減少は啓蒙主義の登場と識字率の上昇が原因として強いのではないか、ということを語っている。

“私の見るところ、この本をはじめとする印刷物の増加と識字能力の向上こそ、人道主義革命のきっかけとなった最大の外生的要因ではないかと思われる。”P320

  

識字率が上がることによって、自分の思考、意識の流れがほぼ他者と同じだということに気が付く。また、同じところを多く分かち持つが、別の考えもあるということを、文字を読んで辿ることができる。

単に想像するのではなく、相手の立場に立てるようになることによって初めて「共感」という感性が磨かれる。

このことが死刑廃止を訴える人道主義革命につながったのではないかと語られたが、納得のいく内容であった。

  

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本書を読みながら、ついでにカントが永遠平和を達成するために挙げた3つの条件について学びを得ることが出来た。

・国家は民主制でなければならない

・国際法は自由の国家の連合に基礎を置かなければならない

・普遍的な歓待、あるいは世界市民法がなければならない

  

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その他メモ

“これほど多くの暴力的制度が、これほど短期間に消滅したのはなぜかといえば、それらを葬り去った論拠が、理性の時代と啓蒙主義の時代に登場した首尾一貫した哲学からくるものだったからである。” P332

⇒ロック、スピノザ、ルソー、ホッブズ、ヒューム等

  

“啓蒙主義のすぐあとに起きたのがフランス革命である。(・・・)しかし、啓蒙主義がフランス革命の恐怖政治やナポレオンの登場の原因となったという説は、控え目に言っても疑わしい。” P338

  

ヘモクリズム・・・・・血の洪水

フリードリヒ・シュペー・・・・・・拷問の無意味性を本にして告発。魔女狩りの廃止に貢献した人物。

“(・・・)他人の幸福を重視するという価値感は、人道主義革命の時代に多くの野蛮な慣行が廃止される際の共通の要素となったのだ。” P263

  

“道徳的な非難はときとして道徳的な非難を行わない人への非難へとエスカレートし、それが次第に膨らんでとてつもない大衆の妄想や集団的狂気へと発展する可能性がある。” P260

  

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