シモーヌ・ヴェイユ『根をもつこと』岩波文庫(2010)
ジャック・ロンドン『マーティン・イーデン』白水社(2022)
高山宏『トランスレーティッド』青土社(2019)
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日記
『実存主義者のカフェにて』を読んでからシモーヌ・ヴェイユの本を無性に読みたくなってしまった。
池田晶子はシモーヌ・ヴェイユについて、彼女は哲学ではなく神学だと書いていたが、読んでみると文章に力強さ、普遍性を感じさせる研磨された文章が目立つ。『根をもつこと』はしばらくカバンに入れておこうと思う。
メモ
“思想の表明が明示的にせよ暗黙裡にせよ<われわれ>という小さな語に先行された瞬間、知性はすでに敗れさっている。” p44
“そもそもルソーは政党抗争がおのずから共和国の死を招くことを論証し、その行く末を予言していた。いまこそ『社会契約論』を読む個とを奨励すべきだろう。現在、事実上、政党の存在したいたるところで民主主義は滅んでいる。” p45
“直接的で実践的な解決策は政党の廃止である。” p44
“健全な魂において知性はかわるがわるこの三様の在りかたで行使され、そのつど自由の度合もことなる。第一の機能における知性は奉仕者である。第二の機能においては破壊者である。それゆえ、完徳にない人間の場合がそうであるように、悪の側にくみするのをつねとする魂の部分に、知性が悪を擁護する論拠を供給しはじめるや、これを沈黙させねばならない。さもなくば、人間的ななにか本質的なものを欠くことになる。” p38
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『トランスレーティッド』
“元来パラドックスは「語り得ぬもの」の存在をたしかに実感していた文化が、それをさかしらな言語に何とか表してみたいという禁断の願望から出発したのではなかっただろうか。パラドックスがそういう聖なる体験のぎりぎりの表現であることを忘れてはならないだろう。” p73
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『マーティン・イーデン』
“「美の本来の目的は、喜びをつくることなんだから」” p394
マーティン・イーデンは活力の泉であり、洗練された知性と感性の結晶である。
自分が一番好きな文学はトーマス・マン『魔の山』だと言いたいところではあるが、正直こちらのほうが一番自分にとって最高の文学だと今は思っている。
この本は本を読む喜び、書くことの意義、生きることの本質的な問いかけを絶えず促す。