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日記
昨日まで喉が不調であったが、今日のシエスタでほぼ治ったかに思えた。
シエスタによる回復力は驚異的だ。夕方は活力に満ち溢れていたので無理のない範囲で読みたい本をひたすら読み続けた。
ヒルティ『幸福論 第三部』を引き続き読み進めた。内容としては第一部、第二部とさほど変わらない。ただひたすらヒルティの持論が展開されていく。似たような内容が多いかもしれない。その面、読めば読むほどヒルティの人間性がイメージのなかに確固たるものとして定着していく。
科学が文明の中心になっている現代では、神がいるかどうかという証明は不可能であると皆分かっているし、実際のところ、神のような存在がいるのかどうかという問題すらもはやどうでもいいという思いがある。
しかし科学は価値までは語り得ない。倫理を科学的に展開するには人間への深い洞察、とくに心という難問を先に解明しなければならない。実際のところ、脳と腸の関係もそれほど解明されているようには思えない。その証拠としては、腸の観点から精神医療へアプローチしていく動向が全くみえない。到底、21世紀中には不可能な課題である。
それを踏まえたうえで、信仰・宗教というと胡散臭さをどうしても拭えない日本において、ヒルティの説教は空疎なものだとなお言えるだろうか。信仰が人間の行動原理に大きな影響を与えるひとつの定言命法のようなものだとずっと説き続けているのは、価値に関する確固たる体系を人類はいまだ持ち得ていないからであり、そしてヒルティが読み継がれているのはそれを裏付けているように思える。
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『幸福論 第三部』
メモ
神のことに気にかける意味もなければ、信仰など持つに値しないという考えに対するヒルティの考え
“(・・・)自然科学だけでは、人類の最も切実な要求である倫理的世界秩序を基礎づけることは、やはりできない。たんなる自然科学的世界観は、とどのつまりは、理論的にも実際的にも、利己心の賛美にみちびく。” P51
能力主義的な発想のもとに書かれるハウツー本が依然として多いように自分は思える。
仮に他者へのまなさじ、社会貢献を謳っているものでさえも、やはりどこか表面的なものを感じさせられることが少なくない。
このことについて書こうと思えば止まらないので割愛。
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“しかし、問題の難点は決してそこにあるのではない。世の中に、信仰が欠けているのではない。世間の人たちは、自分に都合のよい、信じやすい理屈さえついていれば、どんな空想家の説でもやすやすと信ずる。” P52
この言葉は重い。ずっしりと降りかかってくる。自分にも当てはまることは間違いない。謙虚さを忘れないように読書も行っていきたい。
“この謎のような人生をのり切って行くには、おもな道はおよそ四つしかない。宿命論か、克己主義か、利己主義か、信仰かである。” P52
“(・・・)カントの倫理学体系はきっとふたたび前面に浮かびあがってくるにちがいない。” P59
ChatGPTにカントの義務論とベンサムの功利主義、選ぶとしたらどちらか聞いてみたが、AIはカントを選んだ。
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『本を生み出す力』
生存競争のパラドックスが書かれていた。
出版業界の不況は囚人のジレンマとなっている。本来は本の質を求めるべきであるが、商業として成り立たせるには新刊書をやたらめったに増やすしかない。それをやめればたちまち競合他社にやられてしまう。しかしそのままでは全員沈没してしまう。これは競争の原理の限界点であるように自分には思えた。
“(・・・)個々の書物からあがる利益の減少を新刊点数の増加で埋めようとすると、新刊には製作費をはじめ経費が余計にかかるため、かなり点数を増やさざるを得ないからである。この新刊点数の急激な増加が、さらに、小売書店への供給過剰を生むこととなり、その限られた売り場スペースを圧迫するようになる。(・・・)そして、このことにより、本は、一部の例外を除いて、以前よりもますます売り上げが低下し、売れる時期も短くなってしまったというのである。(・・・)まさに「囚人のジレンマ」の好例であると言えよう。” P70
“(・・・)こうした悪循環を断ち切るためには、業界全体で一斉に出版点数の増加をやめれば良いのであるが、自分のところだけをやめれば、一冊あたりの利益が小さくなっている中では、ますます売上の低下に直面することは明白である。” P70
売れることを主な目的とした文字を誰が読みたいと思うのか。(いや、沢山いるだろうけれども)自分は全く読みたいと思えない。例えば図書館の閉架書庫には数多の名著が埋まっていると自分は推察する。個人的にはそうした本が復権されていくことを願っている。
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『人間とは何か』
(以下ボードレールの言葉)
“「役に立つ人間であるということが、私には常に何かしらひどく醜悪なことに思われた」” P148
“「ダンディイは何もしない。ダンディイが民衆にものを言う場面を想像出来るか、但し、民衆を愚弄する場合は別として」” P148
“「己れ自身に対して偉人であり聖者であること、これが唯一の重大事だ」”P148
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“何かを思考することは、その何かを思考している自分とは何かという懐疑を孕まざるをえず、その結果、思考の根拠が宙吊りにされてしまいます。そのシーシュポスの刑罰のような無限のくり返しのなかに、ボードレール以降の私たちは置かれているわけです。” P151
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『シモーヌ・ヴェイユ アンソロジー』
“わたしたちが世界に向けて合目的性を求めるたびに、世界はそれを拒む。だが、世界が合目的性を拒むことを知るためにこそ、合目的性を求めなければならない。不幸だけが合目的性を求めるようわたしたちを強いる。” P304
今後も困難にあたった時にはヒルティやシモーヌ・ヴェイユ等の本をおともにしたいところである。