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新・読書日記434(読書日記1774)

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日記

通勤中、帰りの電車、ずっとカミュ『転落』を読み続けた。ウルフの『三ギニー』は、さすがに文体のくどさにまいってしまった。執拗に同じようなことを書き続けるウルフの精神には見習うべきことはあるが、さすがに読み手としては相当元気じゃないと読めない代物、と書いたら失礼だろうから文学作品と書いておこう。つまり忍耐を要する。しかし、忍耐を要するからこそ文学作品なのかもしれないとも思わせる。カミュの『転落』は読み易い。最初、訳者による本の背景に関する解説から始まるので作品の世界に入りやすい。また、登場人物の性格もどことなく自分に似ている。社会的に強者と争うのではなく社会的弱者のほうに目をむけるまなざし。貪欲さを非難し、利他を自らの行動原理と課す。何故転落なのか。それは読み終わったら考えてみよう。帰宅後は軽くトドロフ『文学が脅かされている』を読んだ。共産主義のイデオロギー下にあったブルガリアでは読むに値するような本が限られており、フランスに赴いてからは開かれた世界に可能性を感じ始めたトドロフの青年期について書かれていた。こちらも『転落』と同様、薄くて軽く、敷居が低いので読めるかもしれない。つづく

メモ

“文学はわれわれの世界を広げ、世界についてそれまでとは異なった仕方で概念を構成し、異なった仕方で世界を組織する方法を想像するよう促す。われわれは全員、他の人間存在がわれわれに与えてくれるものでできている。第一に両親がおり、次いでわれわれを取り巻く人々がいる。文学はこの他者との相互作用の可能性を無限に開き、したがってわれわれを無限に豊かにしてくれる。文学がわれわれに与えてくれる他に代替するもののない感覚は、現実世界をより意味に満ちたものとし、より美しいものとする。” P9

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