読書日記の補足:バーマンとベイトソン
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グレゴリー・ベイトソンが「事実と価値は分けられない」と言ったそうですが、これは本当ですか
Gregory Bateson は、自身の出版物の中で “facts and values cannot be separated”(「事実と価値は分けられない」)という文を引用符付きで示したことはありません。しかしこの言い回しは、彼の認識論における核心的な主張のひとつを実によく表しています。彼の見解では、私たちが「事実」と呼ぶもの(科学が「蓄積」するデータ)は、いつでも価値観に満ちた注意や解釈のパターンに従って選ばれ、枠付けられ、記述されるため、純粋に「価値中立」な事実というものはありえないのです。
Móris Berman の要約
Móris Berman は著書『デカルトからベイトソンへ』の中で、西洋思想を長く巡った末に、ベイトソンが提示するデカルト的二分法への代替案を6つの対比としてまとめ、その第一が以下になります:
① 事実と価値とは分けられない。〈事実は科学が積み上げる〉
(“Facts and values cannot be separated. 〈Cartesian: facts are what science accumulates〉.”)
※千夜千冊
学術的解釈
京都大学のある論文は、ベイトソンが「事実と価値を融和させ、科学と芸術の境界を消し去る方法論を構築した」と評しています。
※KURENAI
ベイトソン自身の認識論
『Steps to an Ecology of Mind』や『Mind and Nature: A Necessary Unity』を読むと、彼は繰り返し「観察」はより大きな関係性のパターンの一部だと論じています。何を観察するか(そしてどう記述するか)の選択そのものに、すでに何が重要か、美しいか、健全かといった価値判断が刻み込まれている、というわけです。
要するに、ベイトソンの著作中にそのままの文は出てこないものの、「事実は常に価値の痕跡を帯びている」という彼の挑戦を的確に言い表したパラフレーズだと言えます。彼のオリジナルの表現を探すなら、『Steps to an Ecology of Mind』の第V部「Epistemology and Ecology」(特に「Form, Substance, and Difference」)や、『Mind and Nature: A Necessary Unity』の序文あたりから入るとよいでしょう。
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ChatGPT に質問する
あなた:
まさしくその通りで、千夜千冊に事実と価値は分けられないと書いてあったのです。つまり、これはモリスバーマンの意訳とみてよろしいですか。
ChatGPT:
思考時間: 2 ~ 3 秒
はい、そのとおりです。「事実と価値は分けられない」という簡潔な文言は、ベイトソン自身の直接の引用ではなく、Móris Berman が『デカルトからベイトソンへ』でまとめた意訳(パラフレーズ)だと考えてよいでしょう。Berman は西洋思想の文脈からベイトソンの認識論を要約する中で、この表現を用いています。
情報源
あなた:
ちなみに、パラフレーズの定義について教えてくれませんか。
ChatGPT:
パラフレーズ(paraphrase)とは、ある文や発言の意味・内容を変えずに、別の言い回しや構造で言い換えることを指します。具体的には次のような特徴があります。
- 意味の等価性
オリジナルの主張や情報の核心(意図・要点)はそのまま維持しつつ、語彙や文法、語順などを変えて再表現します。- 例:
- オリジナル:「今日は雨が降っている。」
- パラフレーズ:「本日は雨模様です。」
- 例:
- ニュアンスや焦点の調整
同じ内容でも、強調点を少し移したり、文体を変えたりして読者・聞き手に与える印象を調整できます。- 例:
- オリジナル:「彼女は会議で的確に意見を述べた。」
- パラフレーズ:「会議において、彼女の発言は非常に的確だった。」
- 例:
- 翻訳・要約との違い
- 翻訳:別の言語に移し替えること。
- 要約:情報を簡潔に縮め、余分な部分を省くこと。
- パラフレーズ:元情報をほぼ同じ長さ・詳細さで、同一言語内で言い換えること。
- 利用場面
- 引用の際に著作権を守りつつ説明を加えたいとき
- 他者の意見を自分の言葉で伝えたいとき
- 複雑な文章をわかりやすく整理したいとき
まとめると、パラフレーズとは「オリジナルの意味を損なわずに、異なる表現で再提示する技術」です。英語圏のライティングや翻訳、学術論文の引用ルールなどで頻繁に用いられます。
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