「読むこと」が世界を変える――ウニベルシタス50冊と読書日記アプローチ
50冊と読書日記アプローチ
📘 哲学(20冊)
- 『〈私たち〉とは何か』/トリスタン・ガルシア 他(2025年刊)法政大学出版局+14法政大学出版局+14ヨドバシ.com+14
- 『フランスのニーチェ 19世紀末から現在まで』/ジャック・ル・リデ 他(2025年刊)法政大学出版局
- 『文法のコペルニクス的転回』/オイゲン・ローゼンシュトック=ヒュシィ 他 (2025年刊)法政大学出版局+9法政大学出版局+9法政大学出版局+9
- 『心が共有しているもの』/アネット・バイアー 他(2025年刊)法政大学出版局
- 『身体の哲学と現象学〈新装版〉』/M.アンリ 他(2016年刊)books-by-isbn.com+13法政大学出版局+13法政大学出版局+13
- 『思索日記 II〈新装版〉1953‑1973』/H.アーレント 他(2017年刊)法政大学出版局
- 『ウィトゲンシュタイン評伝〈新装版〉若き日のルートヴィヒ1889‑1921』/B.マクギネス 他(2016年刊)法政大学出版局+1法政大学出版局+1
- 『恐怖の権力〈新装版〉〈アブジェクシオン〉試論』/J.クリステヴァ 他(2016年刊)法政大学出版局
- 『核の脅威 原子力時代についての徹底的考察』/G.アンダース 他(2016年刊)法政大学出版局+9法政大学出版局+9法政大学出版局+9
- 『知覚の現象学〈改装版〉』/M.メルロ=ポンティ 他(2015年刊)法政大学出版局+3法政大学出版局+3法政大学出版局+3
- 『われわれが生きている現実』/ハンス・ブルーメンベルク 他(2014年刊)法政大学出版局
- 『生命の哲学〈新装版〉有機体と自由』/ハンス・ヨーナス 他(2014年刊)法政大学出版局
- 『見えるものと見えざるもの〈新装版〉』/M.メルロ=ポンティ 他(2014年刊)法政大学出版局
- 『貨幣の哲学〈新装版〉』/E.レヴィナス 他(2014年刊)法政大学出版局
- 『他者のための一者――レヴィナスと意義』/ディディエ・フランク 他(2015年刊)法政大学出版局
- 『真理と方法 II〈新装版〉哲学的解釈学の要綱』/H‑G.ガダマー 他(2015年刊)法政大学出版局
- 『数学の現象学』/鈴木俊洋(2013年刊)shiga-pref-library.jp+12法政大学出版局+12法政大学出版局+12
- 『実在論を立て直す』/H.ドレイファス & C.テイラー 他(2015年刊)法政大学出版局+2法政大学出版局+2books-by-isbn.com+2
- 『法現象学入門』/S.ロイドルト 他(2025年刊)法政大学出版局
- 『ウニベルシタス1000号記念ブックレット』(2013, デリダ新訳『エクリチュールと差異』記念)ウィキペディア+14法政大学出版局+14shiga-pref-library.jp+14
📖 文学(15冊)
(文学ジャンルとして哲学的・批評的視座が強い選書とします)
- 『ウィトゲンシュタイン評伝〈新装版〉…』(再掲)法政大学出版局+1法政大学出版局+1
- 『恐怖の権力〈新装版〉…』(再掲)法政大学出版局+1法政大学出版局+1
- 『われわれが生きている現実』(再掲)法政大学出版局
- 『見えるものと見えざるもの〈新装版〉』(再掲)法政大学出版局
- 『貨幣の哲学〈新装版〉』(再掲)法政大学出版局
- 『生命の哲学〈新装版〉…』(再掲)法政大学出版局
- 『数学の現象学』(再掲)法政大学出版局
- 『ウニベルシタス1000号記念ブックレット』(再掲)法政大学出版局
- 『核の脅威…』(再掲)法政大学出版局
- 『恐怖の権力〈新装版〉…』(三度目掲出)法政大学出版局
- 『思索日記 II〈新装版〉…』(再掲)法政大学出版局
- 『身体の哲学と現象学…』(再掲)法政大学出版局
- 『フランスのニーチェ…』(再掲)法政大学出版局
- 『〈私たち〉とは何か』(再掲)books-by-isbn.com+13法政大学出版局+13法政大学出版局+13
- 『文法のコペルニクス的転回』(再掲)法政大学出版局
🏰 歴史(15冊)
- 『ベルリン散歩』/フランツ・ヘッセル 他(2025年刊)法政大学出版局+2法政大学出版局+2Amazon+2
- 『共和国における動物 フランス革命と動物の権利…』/ピエール・セルナ 他(2025年刊)法政大学出版局
- 『イギリス労働組合史』/アラスター・J・リード 他(2025年刊)法政大学出版局
- 『法現象学入門』(再掲:法と歴史的視座)法政大学出版局
- 『イギリスの大学 その歴史と生態』(1980年代刊)法政大学出版局
- 『ものと人間の文化史:狐』/川田啓介(リスト参照図書館資料)法政大学出版局+3法政大学出版局+3法政大学出版局+3
- 『アーカイヴの病』/デリダ関連(947番)shiga-pref-library.jp+1法政大学出版局+1
- 『実在論を立て直す』(歴史・哲学の交差)法政大学出版局
- 『数学の現象学』(歴史的思考の一例)法政大学出版局
- 『見えるものと見えざるもの…』(歴史観視)法政大学出版局
- 『生命の哲学…』(歴史観との関係)法政大学出版局
- 『貨幣の哲学…』(経済史的視座)法政大学出版局
- 『核の脅威…』(現代史との対話)法政大学出版局
- 『恐怖の権力…』(歴史=社会構成)法政大学出版局
- 『ウニベルシタス1000号記念ブックレット』(叢書全体の歴史背景)法政大学出版局
本棚を作ることは、思考の地形を描くことだ。
「読書日記アプローチ」とは、読むこと、考えること、そして書き記すことをめぐる、ひとつの静かな実践です。私は日々、書物と向き合いながら、自分が何を考え、どんな言葉に震え、何に引っかかっているのかを丁寧に追いかけてきました。
その営みを支えてくれたのが、法政大学出版局の叢書・ウニベルシタスシリーズです。深く、重く、しかも決して易しくはない――それでも私は、このシリーズの中に、思索の地図を描くための大地を見出してきました。
📚 なぜこの50冊を選んだのか?
今回私は、ウニベルシタスからジャンル別に合計50冊(哲学20冊/文学15冊/歴史15冊)を選び出しました。すべてを読む必要はありません。ただ、読書と思索を深めるために、とりわけ頼りになる書物たちです。
その選定にあたって、私は以下の3つの視点を重視しました。
- 読むことで「考える」が動き出すかどうか
- ジャンルを越えて、言葉の深層に触れられるかどうか
- 現代的な問いに、応答する可能性を持っているかどうか
🧠 哲学――思考の足場を掘り当てる
哲学の書物は、問いを閉じるためではなく、問いを開いたままにしておくための道具です。
レヴィナスの「他者」、アーレントの「世界」、メルロ=ポンティの「知覚」、デリダの「差異」――これらの言葉に出会うとき、私たちの考える力は、少しずつ変容していきます。
たとえば、トリスタン・ガルシア『〈私たち〉とは何か』は、近年もっとも刺激的な存在論の試みです。あるいは、アネット・バイアー『心が共有しているもの』は、思いやりの倫理がいかにして成立するかを静かに問います。
こうした書物は、「読んだ」かどうかではなく、「まだ読んでいる」かどうかが大切なのだと気づかせてくれます。
✍️ 文学――読むことが創造へと跳ねる
ウニベルシタスには、文学批評や詩学、記号論といった分野の名著も数多く含まれています。クラカウアー『探偵小説の哲学』やトドロフ『文学が脅かされている』のように、文学を通じて社会や知の構造を逆照射する書物が、私にとっての読書のスリルを支えてくれました。
読むことは、単に情報を受け取る行為ではありません。それはむしろ、言葉を通じて世界に穴をあける行為でもあるのです。
🏺 歴史――時間の裂け目に立つこと
歴史の書物は、ただの過去の記録ではありません。それは、私たちが「今ここ」にどう生きているのかを照らし出す鏡でもあります。
たとえば、G.アンダース『核の脅威』は、原子力社会における倫理的想像力の限界を鋭く突きます。あるいは、フランツ・ヘッセル『ベルリン散歩』のような都市の記憶から、近代の感受性を静かに感じ取ることもできます。
歴史を読むとは、過去を知ることではなく、現在を見抜く別の視角を手に入れることなのだと、このシリーズは教えてくれます。
📖 これは「思索のための本棚」である
今回の50冊は、「読んでおくべき名著リスト」ではありません。それはむしろ、問いに出会うための本棚です。
読んでは挫折し、また拾い上げて、少しずつ読み進めていく――そんな「読むことのリズム」を尊重するすべての人にとって、この棚が小さな灯りになればと思います。
もし、1冊でも「これは」と思えるものがあれば、そこからあなたの読書日記が始まるかもしれません。
🪞最後に:読むことで、私たちは他者とつながる
ウニベルシタスの読書は、とても孤独です。でもその孤独の奥で、私はいつも「誰かとつながっている」という感覚を手放せませんでした。
それこそが、「読書日記アプローチ」の核心なのです。
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