ブクログをブクブクにする日記
1. 導入 ― 膨らむ本棚、膨らまない心
ブクログを開くたび、数字が増えている。
登録冊数、積読リスト、レビューの数――膨張していくデータの海に、奇妙な浮遊感を覚える。
「読んだ」という既成事実だけが、ブクブクと膨らんでいくのだ。
2. ブクログという装置
ブクログは便利だ。
読書記録を一元管理できて、感想を残せて、他者と共有できる。
だが、この「便利さ」は同時に、ある種の麻痺を生む。
- 記録すること自体が目的化してしまう
- 読んだ本が「データ」として整列し、個別の読書体験が希薄化する
- 「ログする」という行為が、「読む」という行為を侵食する
記録が読書を浸食し、読書が記録を空洞化する。
この無限循環の中で、私たちは何を「読んだ」と言えるのだろう。
3. 膨張する“数”と縮む“感覚”
数字はどんどん増えていくのに、心の手触りはなぜか薄れていく。
100冊登録したはずなのに、記憶に残るのはほんの数冊。
ブクログを眺めながら、「この本、いつ読んだっけ?」と首を傾げる瞬間が増えていく。
- 膨らむ … 冷静な数字
- 縮む … 熱を帯びた記憶
この反比例こそが、ブクログのブクブク化である。
4. 読書梟的ユーモア
ある日、登録だけして積ん読になったままの本を見て、思わず笑ってしまった。
「私、この本を“読んだことにした”だけじゃないか」と。
まるで、読書そのものが「ブクブクの泡」になって、静かに消えていくようだ。
- 数字は増えるが、深まりはしない
- 共有はされるが、実感は伴わない
- 記録は残るが、体験は溶ける
このズレを抱きしめながら、「それでも私はブクログを開く」のだ。
5. 批評的視点 ― 「記録」と「経験」の非対称性
ブクログを批評的に眺めると、次のような非対称性が見えてくる。
記録 | 経験 |
---|---|
数値化される | 言語化しづらい |
増減が見える | 輪郭が曖昧 |
他者と共有できる | 個人に閉じている |
この非対称性が、記録と経験の間に不可避のズレを生む。
そして、そのズレこそが、読書行為を豊かにしているのかもしれない。
6. 結論 ― 浮かび上がる静かな悦び
ブクログをブクブクにすることは、悪いことではない。
記録があふれ、数字が膨らんでも、そこに確かに「読書の軌跡」が刻まれている。
膨張するデータの海で、ひっそりと息づく「一冊の体験」。
私は今日もまた、ブクログを開いて一冊を登録する。
その泡が消えていくことを知りながら、静かに「読む」という営みを続けるのだ。
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ブクログをブクブクにする日記
1. 導入 ― 膨らむ本棚、膨らまない心
ブクログを開くたび、数字が増えている。
登録冊数、積読リスト、レビューの数――膨張していくデータの海に、奇妙な浮遊感を覚える。
「読んだ」という既成事実だけが、ブクブクと膨らんでいくのだ。
2. ブクログという装置
ブクログは便利だ。
読書記録を一元管理できて、感想を残せて、他者と共有できる。
だが、この「便利さ」は同時に、ある種の麻痺を生む。
- 記録すること自体が目的化してしまう
- 読んだ本が「データ」として整列し、個別の読書体験が希薄化する
- 「ログする」という行為が、「読む」という行為を侵食する
記録が読書を浸食し、読書が記録を空洞化する。
この無限循環の中で、私たちは何を「読んだ」と言えるのだろう。
3. 膨張する“数”と縮む“感覚”
数字はどんどん増えていくのに、心の手触りはなぜか薄れていく。
100冊登録したはずなのに、記憶に残るのはほんの数冊。
ブクログを眺めながら、「この本、いつ読んだっけ?」と首を傾げる瞬間が増えていく。
- 膨らむ … 冷静な数字
- 縮む … 熱を帯びた記憶
この反比例こそが、ブクログのブクブク化である。
4. 読書梟的ユーモア
ある日、登録だけして積ん読になったままの本を見て、思わず笑ってしまった。
「私、この本を“読んだことにした”だけじゃないか」と。
まるで、読書そのものが「ブクブクの泡」になって、静かに消えていくようだ。
- 数字は増えるが、深まりはしない
- 共有はされるが、実感は伴わない
- 記録は残るが、体験は溶ける
このズレを抱きしめながら、「それでも私はブクログを開く」のだ。
5. 批評的視点 ― 「記録」と「経験」の非対称性
ブクログを批評的に眺めると、次のような非対称性が見えてくる。
記録 | 経験 |
---|---|
数値化される | 言語化しづらい |
増減が見える | 輪郭が曖昧 |
他者と共有できる | 個人に閉じている |
この非対称性が、記録と経験の間に不可避のズレを生む。
そして、そのズレこそが、読書行為を豊かにしているのかもしれない。
6. 結論 ― 浮かび上がる静かな悦び
ブクログをブクブクにすることは、悪いことではない。
記録があふれ、数字が膨らんでも、そこに確かに「読書の軌跡」が刻まれている。
膨張するデータの海で、ひっそりと息づく「一冊の体験」。
私は今日もまた、ブクログを開いて一冊を登録する。
その泡が消えていくことを知りながら、静かに「読む」という営みを続けるのだ。
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