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日記
小林秀雄『直観を磨くもの:小林秀雄対談集』新潮文庫 (2013年) を読む。
翻訳家の福田恆存や、洋画家の梅原龍三郎等との芸術について語る。
福田恆存とはサルトルやカミュらの、いわゆる「実存主義」について語る。
端的に「つまらない」で意見が一致した。
「今ここにある人間の実在」というもののあり方を問う。
カミュは『異邦人』において不条理を表現。
「今ここ」に焦点を当てることで過去と未来を切り離す。
芸術や思想の表現として間違っているという、痛烈な批判が語られた。
梅原龍三郎との対談ではピカソやゴッホについて語られた。
ピカソは努力家であり、なんでもこなす万能タイプ。
ゴッホの場合は天成という判定であった。
批評家は語り、芸術家は造る。
芸術家は語らず、批評家は造らず。
小林秀雄は語ることしかできない自分に、多少のつまらなさを感じていることを漏らす。
部活動の試合中、監督に「解説者になるな」と注意されたことがある。
日本の場合、解説者は球界のOBがやる。
野球をつくり、かたる。
つくることのできない批評家は、いったい何を語ったことになるのか。
突き詰めれば、これは滑稽な話ではないだろうか。
つくることのできない解説者に何を語ることが可能であるのか。
つづく
公開日2022-04-29