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日記
エーリッヒ・フロム『生きるということ』のつづきを読む。
フロムは「持つこと = 所有」の観点から人間の心理について洞察している。
会話に関する考察が印象的であった。
考えを「持っている」ということは、換言すれば「ある言説を所有している」とみなせる。
フロムは、議論する時の心理を考察する。
人が考えを改めないことは、「所有」している考えを「手放さない」ことである、と。
何故改めないのか。
フロムによれば、言説にも「価値」があり、人にはその価値をはかりに掛ける心理があることを指摘する。
つまり「所有」しているものが「失われる」ことを、無意識にかつ打算的に考えている。
こういう類いの人間は「頑固」や「可塑性がない」とされる。
言説までもが価値付けされるという見方は現代においてますます強くなっていると思われる。
伊藤守氏がそれを「コミュニケーション資本主義」と呼んだ。
フロムによれば、可塑性のある人間は新たな観念を「想起」できるとされる。
要するに、柔軟な思考というものはまず言説を受け入れる「態度」が重要であると私は理解した。
つづく
公開日2022-05-12
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