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新・読書日記1(読書日記1341)

ビョンチョル・ハン『疲労社会』花伝社 (2021)

(はてなブログ大学文学部との読書日記と区別するため、こちらのブログでは「新・読書日記」とします)

 

3月、4月といろいろな新刊が出たが、今日はこの一冊について書いてみたい。

「疲労社会」

私たちは以前よりも疲れるようになったのか?自分はそう思えない。明らかにデスクワークは昔よりも増えたであろうし、電車も寝ていれば最寄り駅に着く。エスカレーター、エレベーターと、昔に比べれば身体的な負荷は少ないはずだ。

この本は精神的な面での「疲労」について語りたいのだと自分は感じた。

 

読んでいくうちにおよそ見当はついた。

移動が速くなればなるほど、余分に時間があまるのは当然で、1日あたりの仕事量は変わらない。それはいい。身体的にはむしろ軽減されているであろうから。

問題は休日である。

 

移動が早くなればなるほど、人は「暇」になる。かといって、じっとしていられない。

「成長せよ」「人以上に努力せよ」「時間を無駄にするな」

この至上命令によって、休日の時間が容赦なくなにかに埋められていくのである。

 

また、情報過多の時代によって、ついついスマホに手を出したくなる。

「暇な時間」は「落着きのない時間」にシフトしたのである。

本書によれば、ニーチェは、刺激に簡単に反応する人間を非難していたとされる。

スマホも軽度とはいえそういった刺激の一つに入るであろう。

注意散漫とは刺激に対する抵抗力のなさなのである。

そういうことを本書では、多角的に論じられている。

 

 

薄くて軽い本なので、休日の電車で読むにはぴったりだ。

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