この本は、『資本主義問題』とは明確に区別されていると感じた。今回読み終えたのは「経営側」目線の本であり、後者はアカデミズムに特化したものであった。
まず僕が本書の内容を全体的にざっくりまとめるならば、「経営に答えはない」に尽きると思う。
「経営はどうあるべきか」「どういった手法が最適解なのか」
という問いは全くもって無駄であるということは、読売創設者の正力松太郎の「理想を追わない」という言葉から、またはGoogleやマイクロソフトが正しいとされてきた理論を覆した歴史から、独自の思想で突っ走った本田宗一郎氏の実績から、そして田渕直也氏の「予測すること自体を避けるべき」等の言葉から想像がつく。
直感とはおそらくこういうことである。すなわち、
気圧の変化から未来の天気を予測して行動に移すように(例えば先手を取って雨傘の販売準備をする等)、目に見えないが、なんらかの感性を研ぎ澄まして掴めるものを確実に掴みにいけるような人が実績を残していくのだなと、素人ながらに思った。(様々な金融取引はおそらく直感がものをいうのかもしれない)
僕は、本書を読み数々の問いを立てることができた。
例えば、今日においては、第三次産業がGDPにおける割合を多く占めていると思われるが、それは端的に何を意味するのか。
それを別の文脈に置き換えると何がいえるのか。
こういうことを常日頃から連続的に問い立てて答えを探す思考能力であったり、アンテナを張り、ひょんなことから真理を掴み取る力、そして批判的思考力などが合わさることによって正しい経営判断というものが確立されていくのだろうと思った。
この方の別の本をもっと読み込んでいきたい。
つづく
公開日2022/1/2