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読書日記537

仲正昌樹『今こそアーレントを読み直す』講談社現代新書(2009)

■株式会社講談社

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メモ

ユダヤ⇒イエスを十字架にかけて殺害

キリスト⇒金貸し業を禁止⇒汚れた仕事(金貸し)をユダヤに負わせる

仲正氏「(当時は)金貸しは必要悪」

シェイクスピア『ヴェニスの商人』・・・・ヨーロッパ社会の身勝手さを表現

ポグロム・・・ユダヤ人が集団的に殺害されたこと

帝国主義・・・・アフリカやアジアを植民地化し、ナショナリズムの世界的な拡散

ナルシシズム・・・・愛されることの過剰なまでの要求⇒自己愛の不足(?)

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日記

アーレントは社会主義やマルクスに対して批判的であり左派ではないとされる。

かといって、日本の左派知識人からは半左翼としてのアーレントに好感を持つ者もいて。左右どちらからも人気があり、近年再評価を受けていると書いてあった。

今日は導入部から80ページほど読み進めた。

人間の普遍的な心理として、共通の敵ができることで、今までそこまで仲が良くなかった者同士の結束力が高まるとされる。

漫画の世界ではよくある話である。

ユダヤ人という「共通の敵」という存在がドイツ人の結束力を高めたことは間違いなさそうではあるが、そんな単純な話でもないと思われる。

本書ではアーレントの著書『全体主義の起源』の解説を中心にアーレント思想について仲正氏の独自の視点から掘り下げる本となっている。

『エルサレムのアイヒマン』という著書がある。

これは、極悪非道のアイヒマンも「平凡な市民」であったことを明かす本ともなっているようである。

そうなれば私たち市民は皆、常に「悪」となり得ることが示唆されてしまう。

しかしながら、上の命令に逆らった瞬間に処刑という「システム」のほうがさらに非道であることは間違いなさそうである。

なぜそうなってしまうのか。

それには人間の「アトム化」がヒントとなっているようである。

考える力を失った人間の集団はいとも簡単に「悪」になりうる。

まさに「無知の知」である。

ここで法体系の欠損はあるのか、という問いが生まれる。

そのよう状況を生み出してしまう法律に欠損がないとは言えない。

ここで哲学と法学の接点が見えた気がした。

公開日2022-07-25

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