■株式会社 みすず書房
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日記
本書は一度読んだことがあったものの、最後までは到底たどり着くことができないまま止まってしまっていた。
社会と個人の相互作用について深く考察された本書を読むことによって道徳法則に関するなんらかのヒントが得られると思い再読を試みた。
生理学的な現象から人間の心理を示そうとする試みはうまくいっていない事が多いと思われる。
心拍数が上がれば緊張しているといった単純なことは分かるかもしれないが、個人がなにを考えているか、脳をスキャンしてもわかるはずがない。
意識は生理学的な現象と同時に進んでいく仮説、「並行説」がまず語られた。
しかし今日では説得性がないようにみえる。
人間は怒ったときには怒った表情をするものだが、ポーカーフェイスの人もいれば演技として、表現としての表情が存在する。
ある意味、記号として捉えなければならない。動物とはそこが違うようにみえる。
ゆえに、動物実験から分かる心理というものは意識に関するごくわずかの知識しか得られないように思われる。
そもそも、敢えて笑ってみることで自然と気分が変わる逆行性が確認されている現代。
心理というものはあまりにも難しい。
しかし、その深遠さを持つ心理学には魅力を感じつつある。
とにもかくにも、今は古典を読みたい気持ちがある。
なにについて考察がなされ、何の考察が中断されているのかくらいは掴んでおきたい。
公開日2022-08-02