この本は非常に示唆に富む本であった。
日本の男性は大いに反省し、行動しないといけないと感じる。
例えば、上野氏は二次元、いわゆる「サブカル」の隆盛と生涯独身率には全くの相関はないという見方であった。
むしろ二次元にハマるのは女性のほうが多いとのこと。
少子化をめぐる論争のなかにある見逃されている事実など、勉強になることが山ほどあった。
全ては紹介しきれないが、例えば上野氏は、少子化を問題視するのは、少子化であることによって不利になる側の屁理屈にすぎないとの見方である。
要するに、移民で労働力を補いなさい、という主張であった。
この本においては、男女をめぐる様々な問題を、「何が変わっているか」、「何が変わっていないのか」を明確化し、その歴史背景や力学が対談形式でうまく表現されている。
こんな本が1500円なのかとびっくりした。
やはり社会学者の洞察力は、感度と感性がまるで違う。
この本を読まずに近年のジェンダー問題を語ることはできないと僕は思う。
男性は何を隠し、何を学ばないのか、何がどうしようもないのか。
女性側からでしか決して見えないものがある。
国を変えるには男性の意識が変わらないといけない。上野氏は、
「意識は現実から変わるものである。」
とうまく表現している。
僕も同感だ。
対談は一貫して、結局は個人が変わらないともうダメだよね、というムードが残念である。権力は男性が握ってしまっている。
頑固は罪だ。
つづく
公開日2021/12/29