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日記
「正直者は馬鹿をみる」
池田晶子氏はこの言葉に嫌気がさしていることを語る。
そして彼女はこの言葉の延長線上に「法律を守ることは損である」という心理を見る。
さらに掘り下げ、このようなことを発言する人間の行動原理が損得勘定になっていることを見る。
小島一郎の事件を思い出した。
彼にとって殺人は無期懲役を得るための手段であった。
そして、死刑判決にならずに無期懲役を下されたときに万歳をした。
彼にとって無期懲役になることは彼の人生にとって大きな得であった、ということになる。
この事件については触れず、ここでは池田氏の考え方を今一度学び直したい。
・・・
池田氏は言葉が軽視されていることを度々本に書いている。
それはどういうことなのか。
自分なりに考えてみた。
結論から言えば、言葉の本来の意味とは違った仕方で人々が理解しているのでは、ということである。
別言すれば、人は言葉の意味を正確には捉えきれていない。
内省に内省を重ねることで人はようやく真の意味に気づくことはできる。
ただ、現代人は言葉を自分の都合のいいように操作している、そういうことだろうか。
ソクラテスに問われると現代人は確実に反駁される。
どういうことなのか。
知ったつもりであるということである。
言葉の意味を本来とは違う仕方で理解している。
その延長線上にあるものが「正直者は馬鹿をみる」という格言なのだ。
本来、正直者であることは馬鹿をみることの条件ではない、そういうことなのだろう。
馬鹿をみるということは言葉を軽視し、結果、行動の原理となる指針、その指針を記述する言葉が本来の意味とかけはなれているので、あるべき行動が真理と相反することなのだ。
公開日2022/9/4