■株式会社岩波書店
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日記
本書は以前から気になっていたが手に取るタイミングではなかった。
そして数ヵ月経ち、今がそのタイミングだと感じまず60ページほど読む。
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本書の序盤で林達夫は、まず関東大震災を経験した清水幾太郎と思想上の立場の比較がなされた。
神奈川県の鵠沼ではほとんどの家が倒壊されたと書いてあった。
地震のメカニズムにもよるが、死者の大半は火災によるもの、つまり間接的には都市構造によるものが大きいという見解を清水幾太郎は抱く。そしてその経験を生かせていない震災以後のインテリによる都市計画に批判的な見解を示す。
本書を読む限りでは、林達夫の恐ろしく冷静な様子が伝わる。
無抵抗主義と呼ばれる。
清水幾太郎とは違う視点でインテリへ批判を行ったと書かれている。
批判の矛先を自身にも向けつつ、時代を幅広く大局的に静観している。
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林達夫は震災による津波(三浦湾)、と震災後に再び活性化しつつある出版業界の溢れるばかりの「本の津波」に批判を行った。
ここの部分は自分でも日々感じていることと重なり、多いに共感した。
つまり、モノが溢れるとモノの価値がインフレし、ひとつひとつのモノが空っぽ同然となる。
出版業界ではいわゆる「駄本」が平積みされる状況に林達夫は苛立ちを感じていたのかもしれない。
岩波書店がはじめた委託制、定価販売制を後追いした講談社が雑誌で成功をしたとある。
個人としては、競争原理の意義や価値に関して全否定する訳ではないが、商業と出版に限っては「売れてなんぼ」でいいはずはない。
林達夫がなぜ編集に向かったのか。
のちほど確認していきたい。
公開日2022/10/8