■株式会社新潮社
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日記
福山雅治が演じる湯川秀樹と小林秀雄の対談を読んだ。
因果論、量子力学、自由意志など、お互いの意見を交わし合う。
ここで感じたのは、やはりよく言われるように、小林秀雄が相当ベルクソンの影響を受けているのではないか、というものであった。
本書では、小林秀雄本人がベルクソンの考えに依拠しながら自由意志について語る。
ミクロの世界では非決定論の世界が存在している。2022年現在も未解決である。むしろ時間が逆戻りすることも確認されているくらいである。
それでも小林秀雄は、偶然と必然という言葉が先に存在していることの不思議さを加味しながら自由について確率で表し得ない可能性について語る。
その次からは次元の違う話が展開され、夜の集中力では追いきれず断念した。
加えて、このように、言葉の絶対性について深く考えた池田晶子が小林秀雄を愛した理由がなんとなく分かってきた。
二人の考え方はだいぶかけ離れているように感じた。
お互い理解はし合っているものの、トピックがそもそも難しいので、それぞれがそれぞれの持論を説明していかないと話が進んでいかない。
人は見たいものしか見ないとよくいうが、物理学者は物理の世界を、形而上学者は形而上的なものばかり見たがるのではないかとも感じた。
幅広く、人文と科学の領域をまたがる万能人が現代にほぼいないと思われるのは、それぞれの専門があまりにも深く行き過ぎてしまって大きな溝が存在しているからだと感じた。
このまま加速すればもはや専門家同士のコミュニケーションが不可能になるのではないか。
そうなると権威ある側の意見が重視されかねない。
政治的な危機を少しだけ感じた。
公開日2022/10/15