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新・読書日記76

           望月清文『生命 科学の忘れもの』水曜社(2023)

■株式会社水曜社

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       執行草舟『生命の理念Ⅰ』講談社エディトリアル(2017)

■株式会社講談社

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      シオラン『ルーマニアの変容』法政大学出版局(2013)

■一般財団法人 法政大学出版局

公式HP:https://www.h-up.com

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メモ

“菌食を摂ることによって、腸内細菌が行っている、どの栄養素を分解して体に吸収すれば良いか、またどの栄養素や不要な物質を排泄すれば良いかという精度が上がるのです。” P176

  

“腸内細菌が良く活動するためには、悪玉菌も必ず一割はなくてはならないということは面白い事実です。” P179

 

“この内村鑑三が、キリスト教と武士道はまったく同じだということを言っているのです。” P200

  


日記

ショーペンハウアーは「表象なきところに世界なし」という考え(観念論)を持っていたことを、昨日自分は読み取ったが、科学は相変わらずそうは考えず、また、現代思想の最前線も「主観<客観」の立場をとる論者(実在論者)が勢力を増し、「新しい実在論=思弁的実在論」を展開している。

ここで小室直樹の言葉を思い出しみる。

「合理的であろうとする動機が合理的であるはずがない」

  

・・・

ダーウィンの進化論についてまた少しずつ勉強してみることにした。

本書によれば、カンブリア爆発(5億年前に起こった、生物の多様化)はダーウィンの進化論では説明がつかないのだという。

それは「なぜ犬と猫の中間にあたる動物が存在しないのか」という問いによって明らかにされる。

  

生物は突然変異を起こすことで微妙に変化する。それが何万年も積み重なれば犬と猫の中間にあたるような動物は生まれるはずだ、と仮定することができる。

しかし古生物学上、そのような例は存在しないのだという。

「断続平衡」という概念によって説明された。つまり、新しい種は突発的に、突如として現れるのだという。

これは何億年も前の地層に存在する化石などで実証済みなのだという。

この話は非常に興味深いものであった。

人間は徐々に進化してきたのではなく、突然この世にあらわれた可能性がある。

  

今日は非常に濃密、かつ、非常に考えさせられる一日であった。

執行草舟氏の民主主義論もまた非常に考えさせられる。

昨日自分は、執行草舟氏は文明が崩壊する原因を「家庭制度の崩壊」にある、と述べていたのを読んだ。

「個性」という言葉は、執行草舟氏にいわせれば「無個性」であり、制服によって均質化されている現代の学生には「個性」があるのだという。

 

現代の「個性」は我が儘の言い変えなのだという。分からなくもなかったが、なんとなくわかるような気もした。

近年は雷親父という言葉が完全に消滅した。これが家庭崩壊の象徴だと自分はすぐに分かったが、なぜそれが民主主義の崩壊へと直結するのがまだ分からない。

父親が絶対的な権利を持っていれば子供は服従の意味などを理解し、難なく社会に適応することができるのだという。

執行草舟氏の語りは説得力が非常にあり、なんでも真実だと思ってしまいかねないほどのものではあるが、「絶対的な善はない」と本人が言っている以上、「では別の形態の善も存在するはずだ」とどこかで思ってしまう自分もいる。

 

日本の民主主義が機能しなくなっている。民主主義を単なる多数決だと勘違いしている政治家もいる。小室直樹はこういう状況を「アノミー」と表現していたが、だからといってゴリゴリの保守的な人間に戻っていくのは正しいのかどうか、よく分からない。

 

・・・

自分は過去に、哲学者、特に政治哲学者が政治に参加したら面白いと考えた時期があった。

しかしそれは無理な願いなのであった。

なぜならば、政治について哲学的に考えれば考えるほど、政治についてもう考えたくないという領域にまでいってしまうからである。

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