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読書日記781

     ティム・インゴルド『人類学とは何か』亜紀書房(2020)

■株式会社亜紀書房

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日記

人類学は開始当時不毛な学問であるとされた。

西洋と非西洋とを単に分離するような仕事に終始した。

未開社会とは単に文化的に劣っていて彼らは非論理的で仕方がない。

インゴルドはその時代の錯誤から乗り越えるべく、認識論から存在論的な人類学を模索していることが理解できた。

・・・

それと同時に文化の多層性について考えさせられた。

『イメージの人類学』では反復性と一回性に関する論述がなされた。

文化は人々の知識、習慣、芸術などの多面的な複合体である。

世代という言葉があるように、一回性から派生する文化もありながら、枝が折れずに残るように、その派生物が反復化することもある。

・・・

つまり、西洋も文化という乗り物に乗っている。

インゴルドは人間であることと、人間存在の違い説明する。

後者は動物学に還元されるが前者はそうではないと語る。

人間であること、すなわち存在論的な考察をしていかなければならないという話の内容であった。

アニミズムが科学的かどうかは関係なく、文化として存在しているということのほうが重要であり、「私たちはどう生きるべきか」という問いに繋がっていくということである。

ここまで来てインゴルドの問題意識というものを明確にとらえつつある。

モリス・バーマン、ベイトソンと重なるように思う。

彼らの本は今後も現代の必読書として読み継がれるべきであると感じる。

公開日2022/10/27

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