■株式会社草思社
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つづきをよみすすめた。
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日記
二百ページまで読み終わったので感想を書き残す。
終始、議論の軸は「落ち込んだ気分はいかに役に立つのか」であった。
この問いかけは進化論と親和性が高いように感じる。
生存戦略という観点から見れば、普通に考えて感情は全てその有益性にある程度還元できると思われるからである。
・・・
著者は「抑うつリアリズム」という表現を使い、長期的に見れば抑うつは有益だと主張する。
抑うつ気分がある点を超えると急に客観的に物事がみれるようになり、合理的な行動を取れるようになるという見解である。
いろいろな実験結果や証明された事実に基づく著者の見解は、ざっくりとまとめれば以上になる。
・・・
しかし、個人的に感じたことは、進化論は損得勘定のメガネで物事を見すぎているのではないか、というものである。
短期的な損得、長期的な損得で全て説明できるのだろうか。
勿論、動物はそうかもしれない。
だが人間はどうか。
コンコルド効果というものにはうんざりするばかりである。
進化論と心理学がくっつくと(進化心理学)、物事がこの考えに大きく依存する。
往々にして人間のあらゆる行動が種の保存に還元されていく。
これがさらに経済学とくっつくと(行動経済学)、ここでは理屈を超えた人間の感情でさえも定量化され、もはや何をしているのか分からなくなる。限界点を向かえたとき、ようやく気がつくに違いない。
還元不可能な世界を定量化できるのだろうか、と。
おそらくルソーなら言うに違いない。
「愚かな行動経済学者たちよ!」
とはいえ、読み物としてはボリュームがありかつ実証的であり、いろいろと考えさせられる本である。