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つづきをよみおえた。
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感想
最初の頃は本書からマルクス主義と人間の心理についていろいろと考えることができると思っていたが、確かに考えさせられたものの、読み終えたあとはむしろその対象は今までよりも逆に複雑に、電線コードがどんどん絡まっていくような感覚を覚えた。
小坂井敏晶『責任という虚構』のなかでアイヒマン実験について語られていたが、あれはミクロ的な人間の心理を単純化したものであり、政治的な話になると単純化された現象から帰納的に説明などできるはずはないという私の確信は強化された。
・・・
帰属の誤りというバイアスについていろいろと考えさせられた。
例えば挨拶をして無視された場合、それは主観であって相手は何か困難を抱えていて苦境にたっているのかもしれないという見立てもできる。
マルクス主義は複雑で簡単には言えないが、全共闘の運動は、何が私たちを苦しめているのかという問いかけが浅いように感じた。
(本書の4割は同志社大学における、全共闘に関する内容を占めている。)
佐藤優氏が最後に語ったのは、マルクス主義よりもイエス・キリストの救済を信じているということであった。
個人的な解釈では、マルクス主義が人間を救えるはずはないという、ある種の確信だと感じた。
今日においてもマルクスを読む意義はあると知識人は言うが、個人的にはやはり人間の心理と結びつけて読むといろいろと考えさせられ、収穫も多いと思われた。
また、神学部はあまり人気がなく偏差値が低いことが往々にしてあるが、これはモリス・バーマンの本を読むと分かるのだが、ある側面では現代人の心理状況を端的に表しているようにも感じられた。
公開日2022/11/5