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日記
170ページほど読み進めた。
本書はくだらないエッセイのようなものに見えるが、そこらのくだらない新書よりもはるかに読む意義はあるように思う。
端的に情報量が圧倒的に多い。また、参考文献の量も1000円台の本にしてはかなり多いようにみえる。
そして参考文献はデヴィット・グレーバー、マルクス・ガブリエル、ジャック・アタリ、ユヴァル・ノバ・ハラリといった、学術方面の引用が多い。
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本書はコロナ禍の初期に書かれたものとなっているが、コロナはただの風邪だと宣言してしまったアガンベンよりも冷静に物事を語っているようにみえる。
それは明白で、著者の調べる能力、熱意が高いことにある。
経済、政治、人類学、思想に至るあらゆる文献を総合的に分析しているところは、やはり教授たるもの、当たり前のことなのだろう。
最も顕著だったことは、人々は自由よりも安全を優先したことにある。
これはアガンベンのいう例外状態において、特段問題ないようにみえるが、監視社会を強化する要因にもなり得る。
ここからは個人の感想になっていくが、現代人は端から自由を最高の価値としていないのではないだろうか。
命よりも大事なものはない、確かに当たり前であるが、大昔はそれほど当たり前であったようには思えない。
現代人の生きづらさのひとつは不自由なことであり、逆説的に福祉国家の負の産物となっているようにみえる。
自由論を語ることにすると池田晶子の話を引用し、長くなるので割愛するが、無思考であることが不自由の条件であることは疑い無い。
公開日2022/11/17