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読書日記837

ジェニファー・ラトナー=ローゼンハーゲン『アメリカのニーチェ: ある偶像をめぐる』法政大学出版局(2019)

■一般財団法人 法政大学出版局

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日記

ニーチェがアメリカにどのように輸入されていったのかが分かる面白い本であった。

ひとまず90ページ程読んだ。

読んでいくうちに、ニーチェも承認欲求というものをかなり抱いていたのでは、と思うようになった。

処女作『悲劇の誕生』はまったく売れず、その後も出版社を困らせ続ける。

そんな状況にニーチェが激しい怒りを抱いていたとかかれている。

現代人から見れば、ある意味では傲慢で承認欲求の塊である。

ところが一定の評価を与える人物がアメリカにいて、エマソンというアメリカの哲学者との交流からもニーチェの思想が形成されていったことが分かった。(ワーグナーやショーペンハウアーだけではなく)

それでも、ニーチェという思想家は、死ぬまではやはり評価されずに終わったとされる。

1910年代くらいまでは、粗末な翻訳によって読解不可能である状況があったとされた。

ニーチェをペシミストと受けとる人物もいたが、落合陽一氏が言っていたように、やはりどこかポジティブな側面を持っていたことが評価につながっていったのではないか、と感じさせられる内容であった。

俗な言い方ではあるが、物事を単に否定するのではなく、批判する能力を獲得することによって時代を見抜く力が培われる。それによって初めて自由の糧となる。

そういう性質の思想であることは伝わった。

公開日2022/11/23

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