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読書日記881

       サマセット・モーム『サミング・アップ』岩波文庫(2007)

■株式会社岩波書店

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日記

120ページほど読み進めた。

モームによる読書論、人生論が展開される。

いろいろと勉強になる。

・・・

ひとつ気になったのが、苦悩小説に対するモームの持論である。

モームは自身の経験から、苦悩は人を気高くしないどころか、むしろ有害で卑しくさせると断言していた。

執行草舟氏の本の内容を思い出しながら、いろいろと思いをめぐらせた。

結論としては、この明言に対して深く意味を追うことはナンセンスのように思えた。

モーム自身がトーマス・マン『魔の山』においてセテムブリーニらによって語られる「苦悩」と同じ経験をしているとは思えなかったからであった。

従って、この件は頭の片隅にしまっておくにとどめておく。

・・・

とはいえ、モームは執筆と読書に大きく時間を割いていることは伝わった。

モームのいう「天才」については、ありふれた定義であったが、やるべきことはしっかりとしている人であり、かつ常識をも併せ持っている人物像であった。

すぐに小林秀雄が浮かんだ。

後半では読むべき本、読む必要のない本について示唆的なことが語られた。

モームも詩人リルケが敬愛した彫刻家ロダンと同じ本を読んでいたことを確認。

(ダンテ『神曲』)

これから自分は、読む必要のない本をきっぱりと切り捨てられる判断力を身につけたい。

公開日2023/1/1

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