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感想
不合理にも、ある日いきなり過酷な労働を強いられたある一匹の犬、バックの運命にまつわる物語であった。
きれいな言い方で表現するならば「生命の輝き」とはこういうことを言うのかもしれない、というものをこの物語から感じた。
バックには生意気な側面があったのかもしれない。
根拠なき自信があったのかもしれない。
ただ、生きるか死ぬかの世界においてはそんなことは二の次で、生き抜くとはただひたすら体当たりなのだ、というこの自然界の掟と執行草舟氏の言葉が一致した。
然るべきときに抵抗し、無駄だと理解すればなにもしない。
エネルギーをいかに温存させるかが生死を分ける。
ギリギリの戦い。
仲間にも殺されそうになる。
ときに食料が底をつく。
そして仲間が飢餓で倒れる。
主人に重荷と判定されれば射殺されてしまう。
あまりにも過酷な物語であった。
しかしいつも思うのであるが、過酷だからこそ生命の灯火が輝く。
本作品もひとつの苦悩文学であった。
公開日2023/3/25