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読書日記981

        佐々木敦『ニッポンの文学』講談社現代新書(2016)

■株式会社講談社

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その他数冊

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メモ

オスカー・ワイルド「すべてのものの値段を知っている経済学者がここにいる。しかし、価値については何も知らない」

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日記

芸術をめぐる経済(芸術作品がもつ市場価値と美的価値の違いなど)について少しだけ理解が進んだように思う。

芸術作品特有の希少性について、今までに気がつけなかったひとつの視点をもつことができた。

結論から書いてもあまり意味が伝わらないと思ったので以下、説明をしたい。(あとで自分が復習がでら読みなおすにせよ、結論だけ読んでもおそらく無意味であるように思われた。)

・・・

まず値段と価値の関連性について書かなければならない。

そもそも、値段と価値はある程度比例することに異論はないはずである。

値段には様々なコストが含まれている。

ふつう、原価率を極端に下げると客の信頼を失う。これは昔、上司に言われたことでもある。売り上げが多すぎても長期的にどうなるかは分からない。

それでも例外は常に存在する。従って厳密には値段と価値の比例関係を説明できないが、ふつうは値段と価値は比例するものである。

例えば鞄や靴などは、一般的に高ければ高いほど素材が優れており耐久性があり、長くもつものである。

しかし芸術作品の価値が値段で測ることができるとすれば、必然的に価格の高い作品が優れていることになる。

従って、価格の高い作品を生み出す人間が優れていることになる。

この論理に疑いはあるか。

「希少性」という特性によって値段が跳ね上がることは往々にして起こる。

希少性とは数(この話で言えば作品の数)が少ないことでもある。

つまり、あまり作品を創らなかった人間が、膨大に作品を残した人間よりも「優れている」という見方も生まれる。

・・・

バルザックは1日に10時間以上ひたすら書きつづけたと言われている。

優れた人間はとてつもない苦労を重ねている。

バルザックの小説は安く買える。だからといってバルザックが優れていない、と判断するのは明らかに間違っている。

これが市場価値と美的価値のすれ違いということであろう。

しかし美的価値とは何によって構成されているのか。

これはなかなかに難しい問題であった。

公開日2023/4/5

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