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新・読書日記101

       執行草舟『生命の理念Ⅱ』講談社エディトリアル(2017)

■株式会社講談社

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      エッカーマン『ゲーテとの対話 下』岩波文庫(1969)

■株式会社岩波書店

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メモ

『ゲーテとの対話 下』

ドイツについて語るゲーテ

“「けれども、ドイツ統一の内容が、大国らしい唯一の大規模な首都を持つことであり、この一つの首都が、一人ひとりの偉大な才能を伸ばすために有益であるとか、国民大衆の福祉になるとかいうのなら、それは間違っている。(・・・)けれども、フランスのような素晴らしい国には、一つの大中心地ではなく、十の中心地があって、そこから光明と生命が流れ出ているほうがよいのだよ。」” P288

  

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日記

ゲーテを読みつつ、執行草舟氏の還元思想について頑張って読み進めて理解に努めた。

物を生産することは基本的にすべて酸化ということであった。還元とはその逆再生のようなイメージだと理解していい。

現代はプラスチック、原子力発電所によって生み出される核燃料ごみなど、還元不能(少なくとも100年)の物質が多く副産物として生成されている。現状、土に埋めるだとか、宇宙に捨てるだとか、人類は還元する方法を見出せていないように見える。実際そうだろう。

加えて、今はそこまででもないかもしれないが、依然として消費文明にある。

つまり、経済が成長すればするほど酸化が還元を上回り続けることになる。

執行草舟氏は平衡という観点からこのことに警鐘を鳴らしている。現代の食文化や生活習慣からして、将来的にはこの文明は崩壊するかもしれない。文明の崩壊と菌食の喪失には密接な関係があると執行草舟氏は語っていた。そしてそれは歴史資料の裏付けがしっかりと存在する。

  

現代の健康法が「逃げとしての健康法」であるという話は印象的であった。

都会に住めば都会に適応するように身体を調整するのが本来の健康法であって、森林浴などはないものねだりの考えだと語っていた。

また、独自の製法によって生成した二つの種類の水によってキノコを育てると、現代に存在するキノコではなく古代のキノコに限りなく近い状態のものが生産できたという話も印象的であった。

効率を求めれば求めるほど「酸化思想=経済成長を無条件に肯定する考え」に陥る。

しかし、人間的に生きるために必要な菌食は熟成をようするため、効率とは反対の、対立的なものとなっている。

人間性と生産性という、近代の矛盾を打ち砕く事業にすべてをかけるこの会社はやはり普通ではないと感じた。

そして、その根本にあるのは武士道(≒騎士道)を軸に、あらゆる偉大な文学の精神によって支えられているということもまた文学好きの自分としては熱くなるものがある。

つづく

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