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読書日記1036

      仲正昌樹『マックス・ウェーバーを読む』講談社現代新書 (2014)

■株式会社講談社

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その他数冊

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日記

『なぜ少子高齢化は止まらないのか』の立ち読みをきっかけに、もう少し広い視野で物事を考えられるようになりたいと感じた。

「経済成長は必要である」

という漠然とした回答(立ち読みなので論旨は勿論理解していない)に納得いかず(さすがにあれこれ本を買う余裕はなく)、立ち読みである程度カバーしながら今持っている知恵と本で自分なりの回答を出したいと考えた。

(今日読んだ本は勿論この問題と関連付けて読書を行った)

・・・

今日は中野剛志『どうする財源』祥伝社 (2023) を立ち読みした。

さっと流れを掴んで結論だけ記憶した。歴史的には国債の発行がベストという回答であった。

自分は経済学と金融の知識があまりにも足りないので、国債とは別のアプローチから考えてみた。

となりには山本康正『なぜ日本企業はゲームチェンジャーになれないのか』祥伝社 (2022)があった。

財源の問題なのか。経済力の問題なのか。winny事件で明らかになった著作権の問題なのか。

この本にはさっと読んだ限りそのようなことは書かれていなかった。今話題のビジネスやその利便性などが書かれており、印象としては根本に迫るような本ではなかった。

難問だから解くには時間がかかって当たり前だと自分を納得させた。

やはり遠回りをし、コツコツと足場をかためていくしかない。

・・・

出光佐三のこの本は、勉強会の内容をまとめたものとなっており、社長室メンバーの質問に出光佐三が答えるという形式で進行していく。

内容は政治思想、歴史、哲学と幅が広く、前半はマルクスの話がメインであった。

出光佐三とマルクスの出発点は同じであった。

出光佐三は大阪の金持ちの在り方に反発し、「黄金の奴隷たるなかれ」と叫び、マルクスは資本家階級の搾取に反発した。本書では二人の到達点も同じだったと書かれている。(ただしその目的に対する手段は正反対であるとされる)

両者ともに「人間らしく平和に暮らす社会」を目指した。

出光佐三は日本を覆いつつあった共産主義に対して「良い部分だけ採用しろ」と冷静に構えた。

勿論、出光は共産主義の欠点も見抜いていて、過剰な平等観は個々の身体的、精神的な差をゼロにすることでもあり、「それは人間の否定である」と述べた。

資本主義にも良し悪しがあるが、出光は「自由競争」は「進歩の母」であると考えていた。

なぜ出光なのか。

それは出光を尊敬していると本のなかで語っていた執行草舟氏の影響である。

なぜ出光を尊敬しているのか、その点を考察する気にはなれなかったが、出光はマルクス主義の平等観には人間が神になろうとしている側面を見抜く。

矛盾のあって当たり前の社会に、自由競争の原理が働かずに計画通りにうまく事が運ぶという前提には人間の私利私欲が見逃されていると出光は考えていた。

長くなるので次回以降に書きたいが、出光もまた、執行草舟氏と同様に明治以前と以後で「武士道」の精神がなくなっていく過程で外国の文化に染まり、日本が個人主義に傾いていることを肌で感じとる。

・・・

ここまでの流れは宗教社会学の知見なしには分析することはできない。

資本主義の成立期にはカルヴァンやピューリタンなどの宗派と深く結び付いている。

また、マックス・ウェーバーは官僚制が「指導者」と「官僚」の立場が逆転していくという逆説を見抜いていたとされる。(指導者にはあまりにも高度な知識が要請される現代では官僚が主導で政治が進むことも少なくない)

マックス・ウェーバーから学べることは多いと思い、時間がある時はもう少し読み進めたいと感じた。

公開日2023/5/23

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