■株式会社河出書房新社
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日記
『新世紀のコミュニズムへ』を読み終えた。
内容は高度であり、全体をまとめるには力不足であることを痛感。
本書に書かれているのは、20世紀の考えとしては民主主義と資本主義が車輪のような関係にあり、それが資本主義の定石であるというのが通説であった。しかし中国が経済的に大きく成長しその定石を崩してしまった。
資本主義は民主主義と関係を保ちながらも権威を必要としている。という主旨のことが書かれていたが、本書における最後のあたりのヘーゲルとマルクスに関する理論と大澤氏の理論がいまいち掴めなかった。
力不足を痛感。大澤氏が本書のなかで『ホモ・デウス』について言及していたことから、ノンフィクションを読もうという気になった。
・・・
『ホモ・デウス』の「デウス」とは神の意である。
ある意味恐ろしい本である。執行草舟の言う通り、「神が死んだ」近代以降、人間は自分達が本気で神に置き換わろうとしている。
今、科学は形態を変えた宗教である。蓄積型の科学は必ずや「真理」に到達し、必ず「神」に近づける。そのような心理がもろに見える。
ひとまず100ページ読み進めた。
飢饉、疫病、戦争が減ってきたことはたしかに事実であるだろう。
ハラリ氏は、その後克服されたこの3つが何に置き換わるか述べた。まずは「老化」だと述べられた。
二つ目は「幸福の獲得」であるとされた。
読んでいて違和感をところどころ違和感を感じた。
ハラリ氏に対する嫌悪感というよりかは、幸福という、実際はよく分からない概念をハラリ氏はただ「快楽」としていた点である。
つぎの違和感は、ハラリ氏が日本の幸福度に言及していた内容についてであった。
ハラリ氏は、1950年代の日本人の幸福度は1990年代の日本人のそれよりかは同じ程度か、むしろ大きかっただろうと語る。
たしかに発展途上国の自殺率は日本よりは低いと聞く。
物質的な豊かさであれば明らかに1990年代のほうが上だ。
しかし幸福度は比例しない。
社会科学的にみれば要因は無限大にあり、何が幸福度を決めるのか、そんなものは高度な計算式を使っても分かるものではない。
信憑性は分からないが、軽く調べたら1950年の自殺者数は10万人あたり約19人。1990年は約16人。その後は増加していき、2000年代は20人台が多い。
違和感はますます増していき、ハラリ氏は精神安定剤などの「薬」で幸福度を上げていくのも悪くないだろうと述べている点(現時点の自分はそう読み取った)はやや異常ではないか。
と、ある意味刺激的な本なので読み進めていきたい。
佐々木氏の本からはバベルの塔と翻訳についていろいろと学ぶことができた。
公開日2023/7/8