■株式会社創元社
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その他数冊
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日記
『進化が同性愛を用意した』は70項まで、『「生きている」とはどういうことか』は140項まで読み進めた。
二つの本を読んで再度感じたことは、人文系の知識とは違い、科学は常に更新され続けるので、サイエンス系の本を読むと新しい発見が前者と比べて多いということだ。
・・・
『進化が同性愛を用意した』は新しい発見の連続であった。
人間の同性愛者はマイノリティーとして位置付けられているが、動物全般的にはむしろ普通であるということであった。
動物の場合、ほとんど実質的には両性愛であり、そこが人間と違うと書かれている。
これは驚きである。むしろ一夫一妻は自然界としてはマイノリティにあたるというのであった。
“哺乳類では一夫一妻の配偶システムをとる種は3~9%しかない。” P20 (『進化が同性愛を用意した』)
それに対し、我々霊長類は29%ということであった。
なぜ霊長類は哺乳類と比べて高いのか。まだ仮説しかないのだそうであるが、それは「子殺し防止のため」が有力だと書かれていた。
人類は長い間(西洋においては)同性愛が許されなかった。それはときに「自然の摂理に反する」と言われることがあったが、ただの無知だということが今自分のなかで腹落ちした。
これは「権威付け」と呼ばれる誤謬である。
都合の良い理屈を引っ張りだし、都合の良い言説をつくる。人間はなんと愚かな生き物なのかと改めて感じる。
自分は、これを読んで美学という学問が揺らぐ感覚を覚えた。
次にクリューバー・ビューシー症候群(見境のない異常性欲を引き起こす)についても驚きの事実が書かれていた。
ある動物が別の種類の動物と生殖活動をすることが観察されているのだそうである。
37項には「シカと交尾するニホンザル」と書かれている。また、そのつづきを読んでも、それが「異常」であるとまでは書かれていない。
人間世界ではクリューバー・ビューシー症候群と呼ばれてしまうが、動物の世界では正常な性質なのかもしれない。
また、サルの他にもウサギも同様にニワトリに対して行うと書かれている。
エドマンド・バークは性と美をセットで考えていたが、これはもしかすれば人間中心的な物の見方なのかもしれない。
だから自分は美学が生物学、とくに進化論と大きく関係していると感じている。
・・・
『「生きている」とはどういうことか』もまた驚きの連続であった。
脳を持たない粘菌がまるで意志を持っているかのように振る舞う研究結果について書かれていた。
数式をつかわなくとも、粘菌は食物への最短ルートをその生化学的な原理のみによって開拓しているのだという。
自然が生み出す原理はあまりにも驚異的ではないだろうか。そうなると人間によってつくられたAIはむしろオモチャのレベルなのではないかとすら思えてくる。
このような面白い本がまだまだ沢山あるので時間の許す限り読んでいきたい。
つづく
公開日2023/8/6