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読書日記1159

    マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』ハヤカワ文庫 (2023)

■株式会社早川書房

公式HP:https://www.hayakawa-online.co.jp/

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その他数冊

つづきをよみすすめた。

https://labo-dokusyo-fukurou.net/2024/07/23/%e8%aa%ad%e6%9b%b8%e6%97%a5%e8%a8%981155/

   

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日記

マイケル・サンデル氏はまだ持論を展開していない。

今日まで読んだ内容は全て歴史の整理であった。

読めば読むほど、プロテスタントの精神が受け継がれているアメリカの仕事に対する価値観はよく分からなくなってくる。

以下をメモした。

“「人生で成功するために非常に重要」な要素は何かという質問には、アメリカ人の圧倒的多数(七三%)が努力を第一に挙げている。古くから続くプロテスタントの労働倫理を反映してのことだ。” P137

しかしながら138項では、貧乏なのは努力不足のせいだと考えるアメリカ人は10人中3人しかいないということが書かれていた。

“人びとが貧しい理由をたずねられると、本人に制御できない環境のせいと答える人が多数派であり、貧乏なのは努力が足りないせいだと言う人は一○人中三人にすぎない。” P138

自由な社会で努力すれば夢を掴める「アメリカン・ドリーム」というものに対するシニシズムは何に起因するのか。それは序盤の内容を見れば想像はつくが、格差が何によって開くのかという見解を国民が共通の認識として共有しているということなのだろうか。

トランプ政権について自分は勉強が足りなかった。

宗教についてはある程度掴めたが、トランプ支持者は根本的に何を至上の価値としているのか。自由か。平等か。公正か。いまいちよく分からなかった。ポピュリズムという言葉も実際のところ自分はまだよく分かっていないことが分かった。

・・・

『パラドックスの社会学』は相変わらず面白い。

この本は常識を疑うこと、そしてそれを堂々と主張することの大切さを説く。

何故もっと早くこの本と出会うことができなかったのかと思わされるほどであった。

この本は自分の言葉で自分なりに考えることの大切さを教えてくれる。

「経済のパラドックス」を読んで今までモヤモヤしていたことがある程度スッキリした。

3S政策は誰かが仕組んでいるという見方を左翼はするが、ある意味必然的に発生する現象であるということを感じた。

買換え需要という言葉があるように、ある程度生産が飽和状態になったとき企業が何をするかというと、生き残りをかけて新しいサービスや商品をつくる。これがマクロにまで及ぶことによって娯楽やサービス産業が国全体に広がっていく。この運動は広告が「欲しいものが欲しい」と消費者に感じさせることで加速していく。するとボードリヤールのいう記号的消費が生まれる。経済的な構造によって人間が消費と密接な生活様式が生まれ、消費に依存的になっていく。消費は本来必要に応じて行うものであったが現代では消費そのものが目的化されている向きもある。これが矛盾というか、錯綜した今日の社会だなと思わせられた。

アドルノは学生時代に大衆迎合的な芸術とそうではない真の芸術の共について友人と深く議論を交わしていたと書かれていた。

自伝を読まなければ素人には著書がどういう意図や問題意識のもとで書かれたのかを理解することは難しい。

分厚いがちまちまと読んでいきたい。

つづく

公開日2023/10/4

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