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読書日記1232

         米原万里『打ちのめされるようなすごい本』文春文庫 (2009)

■株式会社文藝春秋

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日記

有隣堂でいつものように本棚を眺めていると、どうしても『打ちのめされるようなすごい本』を読みたくなった。

自分の頭のなかに、引っ掛かるキーワードがいくつかある。

・ロシア

・文学

・共産主義

・創造性

端的に、『打ちのめされるようなすごい本』は3つ満たしていたので自ずと引っ掛かった。

米原氏がいうには、児童向けの文学作品の一部は、本来の内容であるはずの部分(大人向けの箇所)が削除され、オブラートに包まれたかのようにパッケージ化されてしまうのだという。本書ではダイジェスト版への批判をしていた。

“ダイジェストのさらなる罪は、本来多面体で複雑怪奇な存在である人間をバラバラに腑分けして単純化してしまうことだ。性の魅力と危うい破壊力、肉欲と愛との微妙なズレ、容貌と性格の矛盾など男と女を丸々全体として、社会的歴史的背景を含めて多面的にとらえようとするところが文学の本領だというのに。ダイジェストではなくオリジナルを子供に与えよう。難しすぎる、なんてことは断じてない。種はその存続を使命とする。” P333-334 (『打ちのめされるようなすごい本』)

そういう考えもあるのだなと感じた。

自分は児童書について特に考えたことはなかった。

岩波文庫は難しいという印象が一般的にはあるみたいであるが、早いうちに読んでおくことは間違いなくその後の人生を豊かにする。

執行草舟氏は『葉隠』と『純粋理性批判』を小学生の頃に読んだことによって人生が変わったと言っているくらいだ。

そう思えばたしかに米原氏の言っていることもうなずける。

・・・

『日本の美学』

大局的に見れば、いまの日本が全体的に停滞しているのは核家族にも原因の一つとしてあるのだという。

日本は昔、大家族が当たり前であった。家族主義で機能するのが日本の強みであった。

それがアメリカナイズされ、破壊された。

執行氏は、大家族を復活させれば社会保障を撤廃しても長期的には良い方向に機能するという。

調べてみると、国の社会保障費は一般会計予算の35%ほどを占めるという。

思えば、核家族はメリットがあまりないようにも見える。

独り暮らしすれば貯金は難しく、家族ができれば教育費などで家計圧迫させられる。

少子化は社会保障費と相関性があるようにも見える。

なるほどと、いろいろと考えさせられた。

つづく

公開日2023/12/19

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