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読書日記1296

      林達夫『歴史の暮方 共産主義的人間』中公クラシックス (2005)

■株式会社中央公論新社

公式HP:https://www.chuko.co.jp/

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その他数冊

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日記

読書に疲れてきた夕方、BOOK・OFFに赴くと良い本が多いことに、やや興奮気味になりながら二周くらいウロウロまわり、こんな日もあるんだなーと染々思いながらとりあえず林達夫の本を購入。(こちら、新品は流通しておらず)

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『歴史の暮方 共産主義的人間』

林達夫の伝記は1,2年前に読んだ。

伝説的な編集者として知られている。林達夫の在野精神に感銘を受けたことを記憶している。

https://labo-dokusyo-fukurou.net/2024/06/15/%e8%90%bd%e5%90%88%e5%8b%9d%e4%ba%ba%e3%80%8e%e6%9e%97%e9%81%94%e5%a4%ab%e3%80%80%e7%b7%a8%e9%9b%86%e3%81%ae%e7%b2%be%e7%a5%9e%e3%80%8f%e5%b2%a9%e6%b3%a2%e6%9b%b8%e5%ba%97%e3%80%80%e8%aa%ad%e4%ba%86/

   

メモ

“知性は技術と科学とともに、そしてそれらによって形成されてゆく。しかし知性の悲しみは、その発展途上においてつねに事物の法則の把握から事物の一部分が逃れ去ることを経験することである。「既知」の領域が拡大するにともなって、「未知」の領域が狭まってゆくどころか、逆にかえってそれは正比例的に拡大するーーそのことを多少とも体験しなかった科学者がなかっただろうか。” P73

「何が分からないのかが分からない」のと、「何が分からないかは知っている」のとでは雲泥の差だ。

後者は問うことができ、前者は問うことができない。

未知の領域が拡大していく感覚は自分も度々抱いてきた。

しかしそれが独学の醍醐味でもある。

“大学というところは、大仕掛けな、恐ろしい「プロクルステースの床」といっても過言ではあるまい。制度が人を逆支配し、不具にし、圧殺している一つの生きた実例である。” P283

林達夫は京都帝国大学を卒業後、法政、立教、明治などで講師をしていたとされる。

本書ではマナーの悪い学生の話が出てくる。おそらく50~60年前の話であるが、今と変わらないところが面白い。

“アマチュア精神ーーこれはスポーツや趣味生活ばかりでなく、一般に頭脳の仕事の分野においても発揮してなかなか悪くないものだ。” P278

持論

耽美主義者 ≒ 俗流唯物論者

“「ただひらすら卑俗な欲望のみ心奪われている唯物論者の連中……」” P297

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『カール・シュミット入門講義』

宗教や神学の知識が少しずつ身に付いてきたのでカール・シュミットをいよいよ読んでみようという気になってきた。

仲正教授いわく、カール・シュミットはなかなかの難解な本を書いているようで、まずは入門書から読むことにした。

メモ

保田與重郎(1910-1980)・・・日本のロマン主義者

『政治的ロマン主義』⇒アダム・ミュラー (1779-1829) とフリードリヒ・シュレーゲルに対する批判の書とされる。

シュミット「ロマン主義者はカトリックの本質には到達できない」

“「グノーシス」というのは、三世紀から四世紀にかけて地中海に拡がった、物質と霊の二元論を特徴とし、真の「自己」についての認識(グノーシス)を求める、神秘主義的な思想です。” P68

情報量が多く、70項までで今日はストップ。

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『フェルナンド・ペソア伝:異名者たちの迷路』

ペソアの恋愛話が語られた。

ポルトガルの詩人はさぞ情熱的かと思いきや、ペソアは最後まで文学に生きた人間であった。

“ひとはほんとうに誰かを愛することはけっしてない。唯一愛するのはその誰かに関して作り上げる観念だけだ。愛しているのは、自分がでっちあげた観念であり、結局のところ、それは自分自身なのである。” P258

メモ

ネルヴァル「夢は第二の人生」

“実際に出かけてしまえば、旅の魅力はすべて失われてしまう、というペシミズムがそこに透けて見える。このように見ていくと、重要なのは、夢見られる内容そのものよりも、「夢見ること」自体であることがわかる。” P22

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『イスラームから見た「世界史」』

なんとか100ページほどまで読み進んだ。

今日はムハンマドの死からカリフの誕生まで読んだ。

“ムハンマドが没すると同時に、ムスリム共同体は容易ならざる問題に直面した。それは単に「次の指導者は誰か」という問題ではなく、「次の指導者はいかなる存在か」という問題でもあった。” P90

結果的にアブー・バクルという人物が初代のカリフとなった。

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『宗教を哲学するー国家は信仰心をどこまで支配できるのか』

政教分離は国家神道政策が発端

“現在の日本における政教分離の原則は、明治期以降の国家神道政策の反省が大きいということになっています。” P43

“「政教分離」は、特定の教団が他の教団や異なった世界観を持った人たちを、国家機関を利用して迫害・抑圧しないよう、国家機関を出来るだけ中立に保つための制度的な抑制です。” P44-45

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メモ

西洋の政教分離について

三十年戦争(1618-1648) によって締結されたウェストファリア条約によって宗教と政治のあり方が変容。

“これを機に、宗教が世俗の政治を支配するのではなく、逆に政治が宗教を統治の対象にするようになったのです。” P48

宗教と思想の自由について

“旧統一教会であれ、他の宗教団体であれ、自分たちの宗教的理想の実現に協力してくれそうな政党や政治団体を支援し、影響を与えることが政教分離の名の下に否定されるということはない。” P49

イスラム教のように、宗教の戒律がそのまま社会全体の法制度に組み込まれない限りは、宗教団体が政治家に荷担するような行為であっても処罰の対象にはならない。

憲法二○条

「いかなる宗教団体も、国から特権を受けてはならない」

⇒旧統一教会は特権を受けていたのか?

しかし、宗教が政治をどこまで歪めているのか、法をどこまで侵犯しているのかを客観的に判定することは難しい。

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『新編 不穏の書、断章』

メモ

“私の場合、書くことは身を落とすことだ。だが、書かずにはいられない。書くこと、それは、嫌悪感を催しながらも、やってしまう麻薬のようなもの、軽蔑しながら、そのなかで生きている悪徳なのだ。必要な毒というのがあって、とても繊細な、魂という材料でできている。われわれの夢の廃墟で摘まれた草や、墓石の脇に留まっている黒い蝶や、魂の地獄のような水のざわめく岸辺でその技を揺する、淫らな樹々の長い葉っぱで。” P196

  

公開日2024/2/18

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