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新・読書日記217(読書日記1557)

須賀敦子『須賀敦子全集 4巻』河出文庫(2010)

カッシーラー『国家と神話(上)』岩波文庫(2021)

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■株式会社河出書房新社

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日記

気が付いたらこの二冊を読んでいた。

今週来週は神話について読みたいと思うにいたる。最近マキャベリを読み始めたので、いっそプラトンからマキャベリまでの点と点を結ぼうと無意識に働いたのかもしれない。

カッシーラーの本は読める気がしなかったが、本書は比較的読みやすいように思う。とくに序章はプラトンを少しかじったくらいの中学生、高校生でも全然読めるのではないかとすら思えた。

カッシーラーに拒絶反応を示していた自分であったが、読んでみなければ分からないものだと感じた。

あとは、執行草舟氏が『夏日烈烈』のなかで何度も「わからぬがよろしい」「未完でいいと思わなければいけない」と言っていたので、その影響を受けているのかもしれない。

  

・・・

『須賀敦子全集 4巻』

クロード・モルガン『人間のしるし』に触れて

“『人間のしるし』が、あの時代の私たちをとりこにした第一の理由は、わずか三、四年の違いで、戦争に行った人たちと大きく隔てられていた私たちの世代は、おとなに対してヒツジのように盲従し、メダカのように列をつくって、戦争に参加した。そのかなしい時代にヨーロッパでは、同年代の著者を含むあらゆる年齢層、社会階級にぞくする市民が、まずなによりも、人間らしさを大切にするという理由のために、抵抗運動に参加したことを、私たちは戦争が済んでから知って、唯々諾々と戦争を受身で生きてしまった自分たちの精神のまずさに愕然とした。” p165

  

・・・

『国家と神話(上)』

メモ

カッシーラーはプラトンの「正義」には複数の意味が含まれている

・秩序

・規則性

・統一性

・合法性

  

・・・

“国家にかかわるプラトンの理論が哲学的に真であったにせよ、と聖アウグスティヌスはいったん譲歩してみせる。(・・・)そしてプラトンの国家が人間の精神に由来するものであるかぎり、当の国家とは人間の原罪から生まれたものであり、その刻印のすべてをあらわしている。だから、みずからの原型を人間の汚れた精神のうちに求める理性ではなく、ただ神の恩寵だけがくだんの刻印を拭いさることができるのである。” p39

  

”プラトンの理想国家とは、正義の国家である。しかしプラトンによれば、正義の意味するところは権利の平等とひとしくはない。” p49

  

“ストアの思想家たちはみな、決然たる個人主義者である。個人の意志が自律し、独立していることが、ストアの倫理学にあって至上の原理なのである。” p50

  

“ドイツ・ロマン主義の花が開きはじめたのはナポレオン戦争の季節であって、それがしるしづけたのはあらたな決定的な時節であった。ドイツ・ロマン主義がーーー期せずしてーーー舗装した道は、現代のファシズムとナショナリズムに塗れた国家をめぐる神話である。” p54

  

・序章の最後

“おそらくは現在この時節ほど、スピノザの公準を想起することが絶対的に必要とされるときはほかにない。情念は、より強靭な情念によってのみ克服されうる。” p63

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