加美嘉史『漂流するソーシャルワーカー ――福祉実践の現実とジレンマ;フクシジッセンノゲンジツトジレンマ』旬報社(2024)
ロベルト・ボラーニョ『野生の探偵たち 上』白水社(2010)
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日記
福祉のジレンマについて読んでみた。
・合理性を追求すると機械的で本来の人間的な仕事であるエッセンシャルワークの質が落ちる
・エッセンシャルワークは社会的に重要でありながらも、利益率が悪いので賃金が相対的に低い
資本主義の原理上、福祉は折り合いが悪い
効率を追求すればするほど、人間同士の関係が機械的になり仕事の質が落ちる。
病院と似ている。診療時間を短縮してさっさと薬を出す。そのスピードを上げれば利益はどんどん上がるが質は著しく低下する。
福祉は効率の追求だけが合理的な営利活動とはなり得ない。
もうひとつ問題があると書いてあった。資格を取ることが自己目的化してしまうという点であった。
気持ちは分かる。資本主義では自分自身が労働力という商品になる以上、その魅力を引き立たせるには資格という付加価値をつけたくなるのは原理上やむを得ない。
しかし、ただやみくもに資格を取ることに躍起になっていては本質から離れていく。
端的に、哲学が足りていない。
本書には、福祉の世界は競争の原理だけではうまくいかないと書いてあったが、それはそうだと思った。
じゃあ、なにをすればいいのか。
それが本書のテーマとなっている。
おそらく現場の数だけ答えがある。しかし、それをまとめあげ、理論的に構築することは難しい。
実務と研究はそれぞれ独立している。
何かに似ている。
文学をどれだけ研究してもたいした文学を書けない大学教授と似ている。
この問題は深いので、日々考えることのひとつとなる。