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新・読書日記315(読書日記1655)

   

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日記

久しぶりに健診のため病院へ。

約2年弱、全く風邪を引いていないのでマスクを忘れてしまった。

「あちらの自動販売機で購入をお願いします」

仕方がないが、郷に入っては郷に従えだ。買わざるを得なかった。

  

誰の命も皆平等に皆価値のあるものです、という前提にはそこには隠れている。でなければ感染予防のためといってマスクを半強制的にさせるルールなど生まれるはずもない。

しかし、これはひねくれた見方をすれば、誰の身体も皆、平等に価値のあるものです。

誰の身体(だけ)、平等に価値のあるものです。とも受け取れる。

何故ならば、「マスクをしないという自由・信念は誤っているが、その考え方は絶対に尊重する」という考えがそこにはなく、あるのはただ功利的な考えで、最大幸福の最大多数の原理、つまり「感染者数を最小限に抑える」なのである。

こういう考えを別に否定(批判はするが否定はしない)も肯定もしないが、これが現代のセントラル・ドグマなのだろう。

ここからは飛躍してしまうが、この前提の延長線上に消費(主義)社会、無限成長経済、加速主義が隠れているように思えてならない。

  

・・・

ヒルティ『幸福論』

自分はアランの幸福論、ラッセルの幸福論を読みたいとは思わない。

ただ流れでヒルティの本を読んでみたいと思っただけである。神谷美恵子、執行草舟氏の本に登場してきたので、なら自分も、程度である。

とはいえ、ヒルティの本にはどことなく現代のヒューマニズム批判を含んでいるように思える節がある。ヒルティの魅力的な点はそこにある。

メモ

“すべて世間の事柄は、きみの欲するままに起これよ、と望んではならない。むしろ世に起こることは、その起こるがままに起これ、と願うがよい。そうすれば幸福であろう。※これは全くストア的なあきらめである。しかし、このあきらめは、宗教的な根底を欠くとき、特別の場合のほかは、精神の弛緩をまぬかれないのであろう。(・・・)ストア主義は人生の苦難を否定し、常にすぐれた精神力をもってこれを蔑視しようとつとめる。ところが、キリスト教の方は、人生の苦難を現実的存在として充分これを承認するが、それと同時に、ある力を人に与え。より高い、より内的な幸福を約束して、それによってその苦難を堪えやすくし、いな、むしろそれを無意義にさえするのである。” P51-52

➡ストア派には創造力の源泉が弱いとヒルティが言っているのが伝わる

   

“(・・・)不安の心をいだいて贅沢三昧に暮らすよりも、憐れと憂いなしに死んだ方がまさっている。自分が不幸になるよりも、息子が悪人になった方がまさっている。” P55

“(・・・)古代の哲学者の謙遜は、一種のおおうべくもない傲慢であって、これはもちろん小さな虚栄にまさるであろうが、しかし同胞に必ずしも好感を与えるものではない。” P56

“哲学に慰めと希望を求めることの無益さは、現代の代表的哲学者のある者、たとえばハルトマンなどが、自ら宣言しているところである。” P57

   

“死とか、追放とか、そのほか恐ろしいと思われるすべてのことを、毎日、目の前に思い浮かべるがよい。そうすれば、卑しい考えもわかず、激しい欲望も起こらぬであろう。” P62

  

・・・

『ヨーロッパの日記』

メモ

“「永遠の自我」! 自我の栄光と悲惨! この弁証法ゆえにいっさいはーーー絶望のうちにーーー虚無と化す。キルケゴールはその日記のなかでロマン主義的な存在の問題を<死にいたる病>として、「可能性の迷宮に踏み迷い、進むべき道が見出せないでいる自己の危機」として扱っている。” P83

   

“「苦悩のなかでヨーロッパ人気質はつちかわれる」とホーフマンスタールはアミエルの日記を読んだ際に書き留める。” P85

  

(パヴェーゼの言葉)

“「文学とは生にあびせられる侮辱から生を守り抜くことにほかならぬ。」” P90

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