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ヒルティ『幸福論(第一部)』読了+新・読書日記325(読書日記1665)

   

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日記

神谷美恵子『人間をみつめて』が想像以上に考えさせられる本だったので、つづけて『本、そして人』を読んでいたときに、亡命中のドイツ人と神谷美恵子がヒルティの話で盛り上がっているくだりと出会った。

そこでヒルティに大きな関心が湧いた。

期待通り、ヒルティの思想は鋼鉄で出来た不動の精神で固められていた。読んでいて内側から気力、知力、意志が刺激されていく感覚を覚えた。

幸福論という題名の本はバートランド・ラッセル、アランなど様々な哲学者が書いているが、ヒルティは文学とキリストと哲学が融合されているところ、独創的なものを感じた。安楽が人生の目的となってはストア主義者のように、誤った人生観を最後まで持ち続けてしまう、といったことが書かれている。実際そうであると自分も考えている。活力なき人生、パトスなき生になんの価値があるのだろうか。

その点、楽して暮らしたいと考えている人間はこの本を最後まで読むことはできないだろう。

日本人はキリストとか神とか、あまり興味関心が薄いかもしれないが、それらを信じて日々行動していた人間たち(西洋人)が今日の世界を牛耳っている。この事実を忘れがちではないのか。

今は、神は死んだと宣言されているくらいなので、現代にあっては、彼等と根本的に何が違うのかと言われたら、そこまで差はないのかもしれないと思うだろうし、それが事実だと思う。

しかし、その事実は『幸福論』の価値を下げるものではなく、むしろ荒廃した現代にあっては(小室直樹風にいうならばアノミー)、逆にこういった本がより際立って価値あるものと思えてくる。

今日は第二部をさっそく読んでみようと本屋へ行ったが、二部は置いていなかった。古本屋も駄目だった。

仕方なくアマゾンで購入。二部は2月からになりそうだ。

『眠られぬ夜のために』の内容は概ね『幸福論』と似ている。

限りある時間を何に注力すべきか、この本と一緒に考えていきたいと思う。

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