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新・読書日記441(読書日記1781)

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日記

バーリン『自由論』が届いた。さっそく読書。他にもいろいろと本が届いた。本屋にも行き、本にまみれた休日を送っている。そこで『文明を問い直す』という本を見つけ、ちょっと気になってしまい、結局買って帰ることにした。バーリンはミル『自由論』と違い、哲学上の大きなテーマである自由意志と絡めて論じようとしている。自分はこの問題を小坂井敏晶『責任という虚構』を思い出しながら、読みながら、いろいろと考えた。

まずメモから先に書いておこうと思う。

“「本は心の栄養」と言われます。現代人は体の栄養には気を使う方が多いようですが、心の栄養には無頓着な方が多い。しかし、本なら何でも読めばいいというわけではありません。心の栄養といっても添加物ばかりの入った食べ物であればかえって不健康になってしまうことと同じです。ではそれをどうやって見分けるのか。その一つの指針として、その本の内容が三世代に渡って有効だろうか?という問いです。” P496

(『文明を問い直す』)

  

・・・

『自由論』

“従って決定論は、ある範囲の道徳的表現すべてから、明らかにその声明を奪い去ることになるのである。決定論の擁護者たちは、そうした範囲がどこまで及ぶことになるのか、また(望ましいかどうかは別として)われわれの思想や言語に対し、これらの表現から生命を奪うことがどのような影響を及ぼすであろうかという問題を、ほとんどまともに取り組んでいない。それゆえに私はこう信ずるのである。責任と決定論とは、互いに両立しないものではないと主張する歴史家や歴史哲学者は、あやまっている(以下省略)” P12

  

小坂井教授は責任という概念の虚構性についていろいろと書いていたが、責任はその性質からして運に依存する。詳細は『責任という虚構』に書いてある。不注意であることは違法ではないが、不注意である人間が湧いてくると事故を起こす確率が高まる。運がよければ事故は起きない。したがって不注意であることの責任は問われない。運が悪いと自転車で老人にぶつかり、致命傷を負わせて責任を負うことになる。これが責任と運の宿命である。つまり、責任という言葉、概念自体がそもそも決定論を排除していることになりやしないか。世の中の万物が全て法則に従って機械的に展開されているのであればそもそも責任という言葉など存在しない。ゆえに、責任は前提からして決定論的世界観を排除する。自分はそう考える。かといって、自分は世の中は最終的には運命でことが運ぶと考えてもいる。自分のなかに相反する思考が共存している。これが、自分が意識している矛盾のひとつになる。遠回りは近道という言葉、逆説を自分は信ずるが、それは運命を信ずるに等しい。しかし自分は決定論的世界観を受け入れない。なぜなら、全てが決まっていると考える人間には意志や責任感が相対的にその構造からして弱いからである。とまあ、いろいろと考えさせられる本たちだ。時間があればAIと対話してみようと思う。

『文明を問い直す』に添加物と悪書のアナロジーがあるが、自分は添加物が悪だとは考えていない。この人がこの文章を書いた時代は今よりも危険な添加物を使っていたからなのだろうか、それでも添加物は必要な時は必要であり、毒を持って毒を制すという言葉もあるように、悪書もあっていいと自分は思う。そう思いながら次はカントの本を読んでみようと思う一日であった。

この本を読んでいて気づきがあった。生存競争と淘汰と適応のサイクルで、ある生物のある部分が進化していく。それが武器になり、やがて食物連鎖の頂点へと君臨していく。しかし、その発達した武器が強力になると最後は絶滅するのだという。それは化石の研究から分かっていることなのだという。人類は脳が進化していったと考えれば、その協力versionはAIなのだろうから、やはり絶滅するしかないのだろう。少なくとも今の文明は崩壊すると執行草舟氏は何十回も書いていた。人類はどこに行くのだろうか。

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