新・読書日記581(読書日記1921)
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日記
今日は二冊の本を並べて読んだ。ひとつは岩波書店の『独自性の社会』。冒頭を少しだけ進めただけだが、高度経済成長が終わった後の社会では「独自性」が新たな価値として前景化する、という論が提示されている。なるほど、経済が拡張し続ける時代には画一性や同調が機能したが、成長が止まった社会では個性の差異こそが通貨のように扱われるのだろう。
もうひとつはイケダハヤトの本だ。彼は繰り返し「炎上」に過剰に反応する社会の愚かさを指摘している。炎上を恐れる余り、誰もが自分の言葉を引っ込め、無難さだけが横行する。独自性が価値だと唱えながら、実際には少しの逸脱すら「危険人物」として排除しようとする。
ここにあるのは明白な矛盾だ。形式を少しでも誤配すれば「変人」と断じられ、孤立を余儀なくされる。だが「独自性」を標榜する以上、誤配や逸脱をこそ受け止める場が必要なはずではないか。独自であることと異端であることの区別がつかない社会は、結局のところ「独自性」を商品ラベルのように薄く利用しているに過ぎない。
独自性の名を借りて、凡庸さを隠し、炎上への恐怖で批判を封じるーーーその姿は、自由や多様性を語りながら実際には均質化へと回帰する滑稽な社会そのものだ。
本を閉じると、どうしても気分は重くなる。形式に誤配することを笑い飛ばせない社会は窮屈だし、変人と呼ばれることにしか未来が残されていないのなら、その未来にはどこか悲壮感しか漂わない。
独自性の社会 岩波書店
https://www.iwanami.co.jp/book/b10144346.html
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