オリヴィエ・ブランシャール『格差と闘え 政府の役割を再検討する』のつづきを読む。
三章まで読んでみたが、本書は政治、経済、倫理、政治哲学を包括的に扱い、政治経済に関心のある方のみならず、哲学に関心のある方にもおすすめできる一冊であると感じている。
三章では平等に関する考察がなされる。
政治的平等( ≒ 道徳的な観点からみた公平性)
社会的平等( ≒ 人種別、性別等の公平性)
経済的公正( ≒ 公平な経済システム)
本書のタイトル通り考察の対象は、今後全ての人類が文化的な生活を営めるようにするにはどのように政府は舵をとるべきか、どのような政策を作るべきか、政府が主導しなければそれらは達成できないという「大きな政府」の像の明確化についてである。
三章を担当したダニエル・アレンによれば、「政治的平等」が最も優先されるべきであるとする。
また、残りの二つはそれぞれ釣り合わなければならず、このバランスが崩れると結果的に「政治的平等」が損なわれ、格差是正が遠のくとされる。
個人的には、この章は非常に重要であるように感じた。
というのも、本書を手に取る以前までは、格差是正にどうアプローチできるか全く検討もつかず、政治について個人的見解を持ちにくい状況があった。
こちらを読んでも結局、政治との繋がりを意識することはできなかった。
『格差と闘え』は全部で24章もある。
この本を全部読み終わる頃には少なくとも、では次に日本においては何が必要なのかを見極める力が少しだけ付くように思う。
つづく
公開日2022-03-27