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読書日記226

オリヴィエ・ブランシャール『格差と闘え 政府の役割を再検討する』慶應義塾大学出版会 (2022年)

  

オリヴィエ・ブランシャール『格差と闘え 政府の役割を再検討する』のつづきを読み進める。

https://labo-dokusyo-fukurou.net/2024/04/21/%e8%aa%ad%e6%9b%b8%e6%97%a5%e8%a8%98217/

  

逆の視点で、「どうすれば格差を正当化できるか」という点から考察がなされる。

スキャンロンによれば、機会の平等 (教育や就労等) は格差を生む「条件」に過ぎないとする。

現代のアメリカでは仮に機会の平等が達成されたとしても、それだけでは格差を正当化できないとする。

スキャンロンは二つの社会を想定した。

A:1%が大金持ち、99%は貧乏

B:1%が貧乏、99%は裕福

  

この社会において、Bのほうは貧乏でいることへの精神的ダメージがAより大きいのである。

つまり、格差と貧困は物質的な次元だけの話ではないことが示唆される。

これはジェンダーや人種問題に顕著である。

故に、「再配分」だけでは効果がないとする。

   

彼は、この論調で進めていくと、最後には「ロールズの格差原理」へとたどり着くとする。

個人的には、別の書物でロールズの限界が示されていることから、学者間でも意見が割れていることが確認できた。

以上からも、やはり争点は「承認」にあるのではないかと思う気がしてなrtない。

つづく

公開日2022-03-29

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