中島義道『人生を<半分>降りる 哲学的生き方のすすめ』ちくま文庫(2008年)を読む。
本書では哲学を「反社会的」と位置付ける。
中島氏は、人間が皆哲学的になれば社会は成り立たないと述べる。
僕はこれとプラトン『国家』について考えてみた。
仮にイデアが存在して、人間がイデアに沿った善い生き方を実践するとどうなるか。
僕は、機械的で画一的な社会になってしまうと感じる。
イデアには多様性がなく、一元的な概念だからである。
哲学は危険な思想でもある。
哲学は個人のためにあって、全体のためにあるべきでない。
しかし妙な気持ちになる。
個人個人の集まりが社会であって、哲学はその構成員のためにある。
上野千鶴子氏でいうならば「社会のノイズ」かもしれない。
完璧に綺麗な空間は気疲れする。
哲学はそんな綺麗な空間を、人間に居心地の良さを与える塵なのかもしれない。
つづく
公開日2022-04-01