池田晶子『事象そのものへ!』のつづきを読む。
フェミニズムに関して、別の視点から考えてみたい方は本書をおすすめしたい。
池田氏は精神が先で、そのあとに脳が生まれたという見方をしている。
それゆえに、性別は存在するのか?という形而上的な問いを読者にぶつける。
確かに思考は万人に等しく与えられている。
性差とは、ある種「形而下」のことを扱うものであるかもしれない。
池田氏は1960年に生まれ、2000年代後半まで生きた人物であるので、フェミニズム運動は間近で見てきたはずである。
同じ女性でありながらも、池田氏と上野千鶴子氏の考え方の違いっぷりには、人間の奥深さを感じる。
精神から考えれば確かに男女には差はない。
池田氏は、もともと男女は同じ存在であるが女性は「違う」ということを主張してしまったと書いている。
赤ちゃんが生まれると「ありがたい」と誰もが感じるところに突っ込みをいれる。
「生の権利」にまで上っていき、人間が持つ「打算」を端的に批判する。
長生きしたい、若くいたい。
それは「何のためか」を彼女は別の著書で問う。
人生を善くいきることと「長生きする」ことの間にある断絶。「楽しく生きる」ことは人生を善くいきることと別問題であると暗に主張する「変人」である。
つづく
公開日2022-04-02