大野和基『オードリー・タンが語る デジタル民主主義』NHK出版(2022年)を読む。
コロナ禍で活躍したデジタル担当大臣に英語でインタビューしたものをまとめた本である。
日本とどういう点が違うのかが端的に気になった。
台湾にはシビルハッカーという、社会問題を解決するための民間のエンジニアがいて、「開かれた行政」によって双方のコミュニケーションが取りやすい状況があった。
シビルハッカーの提案したアイデアをオードリー・タン氏がすぐに行政院長に許可を得て採用し、実用化に踏み切ったという。
マスクの販売状況が30秒ごとに更新されることによって、市民にマスクを届けることに成功した。
台湾は「Join」というプラットフォームがあり、16歳以上であれば政治に参加できる。5000人以上の賛同が得られた請願には国が必ず応答するようになっているとのこと。
日本とここまで違う理由を考えてみた。
複雑なので、とりあえず思ったことを挙げてみる。
まず人口だ。台湾は約2000万。
日本は人口が多すぎることは否めないのではないだろうか。
次に歴史的背景だ。
台湾は中国といろいろ揉めてきた。誰もが政治をリアルに感じる状況にあったことはいうまでもないだろう。比べて日本はそこまで緊迫感がなかった。
日本も大学紛争などで学生と国が揉めた時期はあった。
こういう違いは国民性ではなく、時代的背景、つまり「環境」が生むのでは、ということは否めないのではないだろうか。
自分を知るには他者を知らなければ見えてこないように、日本の政治を知るにはやはり他国のことも学ばなければならないと思う日々である。
つづく
公開日2022-04-03